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公開日:2025年11月14日 更新日:2025年11月18日
障がいのある方の表現を伝え、地域につなげる。
第44回ADACHI障がい者アート展では、その思いをかたちにする多くの人が関わっています。
今回は、表現者のパーツイシバさんと実行委員の阿部さんに、活動を通して感じたことをお話ししていただきました。
第44回ADACHI障がい者アート展(令和7年度足立区障がい者週間記念事業)トップページに戻る
「心がつながる みんなのステージ!」

障がいのある方と初めて出会ったのは、もう15年以上前になります。
当時、大道芸やパントマイムをしていた頃、ある福祉施設から「子どもたちの前でパフォーマンスをしてほしい」と声をかけてもらったのが最初でした。
正直、そのときは不安でした。「ちゃんと伝わるかな」「受け止めてもらえるだろうか」と。
でも、いざ始めてみると拍手や笑い声があって、音に合わせて体を動かしてくれる人もいました。
その瞬間に、「表現って言葉を超えて伝わるんだ」と気づいたんです。
それから全国の施設や発表会に呼んでいただくようになり、気づけば15年。
特別な活動というより、気づけば自分のライフワークになっていました。
普段から僕がダンスを教えている団体でも、いろんな変化を目の当たりにしてきました。
最初は照れくさそうに小さく体を動かしていた人が、少しずつリズムに乗ってステップを踏むようになったり、仲間に声をかけたり、自分から「この曲で踊りたい!」とリクエストするようになったり。
いまではグループの中心になって、みんなを笑顔にしてくれます。
また、以前は動きがぎこちなかった人が、足や手を少しずつ使えるようになっていったり、全身を使って表現するようになったりと、身体的な変化も感じます。
「自分もできる」と思える経験が積み重なって、自信や表情がどんどん豊かになっていく。
その姿を見るたびに、僕自身も元気をもらっています。

ダンスや演技には、その人の普段見えない一面を引き出す力があると思います。
練習中は真剣でも、本番になるとふっと笑顔がこぼれたり、即興で動きをつけてみたり。
「できる・できない」ではなく、「楽しむこと」が中心にあるんですよね。
ステージの上では、その人の生き方や想いが自然に表れます。
その一瞬に立ち会えることが、僕にとって最高のご褒美なんです。
区役所のステージでやる発表会って、独特のあったかさがあるんですよ。出演する人だけじゃなくて、観客もスタッフも家族も一緒になって、拍手と笑顔がぐるぐる回っていく。その空気感が、このイベントならではの魅力だと思います。
音楽やダンス、作品展までほんとに多彩で、それぞれが同じ舞台で輝いているんです。観客も一緒に楽しんで、境界のない空間が自然とできあがっていく。舞台に立つ人にとっては大きな自信になりますし、観る人にとっても日常では出会えない感動を受け取れる。そこからまた新しい出会いや交流が広がっていくんです。

長く活動を続けてきて感じるのは、「表現には境界がない」ということです。
障がいがあるとかないとかではなく、同じ空間で笑い合ったり、拍手を送り合う時間が、人と人を自然につなげてくれる。
だから、ぜひ会場に足を運んでほしいです。
舞台の熱気や出演者の真剣な表情に触れて、「表現するってこんなに楽しいんだ」と感じてもらえたらうれしいです。
皆さんの拍手が、出演者の自信や次の挑戦につながります。
どうぞ一緒に、この時間を体験してください。
「世界に一つだけの作品に、ぜひ出会いに来てください!」

息子が四肢形成不全のため2歳から北療育医療センター城北分園に通い、その後は特別支援学校に通いました。障がい者夏まつりで、足立区肢体不自由児者父母の会を知り、子育ての悩みや情報を共有できるので、入会しました。父母の会では年1回のバザーに関わり、地域の方々や障がいのある子どもたちと一緒に活動できる楽しさと、準備の大変さの両方を感じました。息子は3歳まで歩けませんでしたが、訓練を受けながら友達と遊び、トランポリンで楽しんでいました。
こうした経験が成長の励みとなり、2008年には24時間テレビで水泳に挑戦。現在は水泳を週3回練習し、大会で数多くのメダルを獲得。その後、トランポリン大会で金メダルを獲得し、東京2020パラリンピックではテコンドーに挑戦しました。最近では新たにeスポーツにも挑戦し、世界の選手と真剣に戦っています。
実行委員になったきっかけは、父母の会の様々な専門部の1つである行事部で鳥羽委員から、実行委員も含めてお誘いを頂きました。先輩からも「様々な障がいのある方々やあしすとでの会議なので、勉強になるよ」との後押しもあり、お引き受けしました。

今年のイベントトークショーには、ブラインドeスポーツスペシャリストの北村直也選手が登場します。2年前の国際福祉機器展で、息子は格闘ゲームで全盲の直也さんと対戦しました。直也さんは音を頼りに技をかけて、息子は、モニターを目で見ながら、コントローラーを足で操作して応戦していました。結果は1勝1敗の熱戦でした。音だけで操作する直也さんに息子も私も、本当に驚きました。対戦後の2人の会話を聞きながら…
息子はこのブースでスカウトされ、eパラスポーツではでハンドルを握り、車の対戦レースに参加しています。
また、ふれあい発表会の舞台も、みんなが合唱やダンスに一生懸命に取り組む姿に、観ていて自然と元気をもらえます。昨年度のフィナーレでパーツさんが出演したとき、コロナ前のにぎわいが戻ってきたと感じましたね。販売コーナーも人気で、クッキーや雑貨は来場者から“もっと欲しい”と声をかけられることもあり、作品や製品を通じて交流が広がっていくのを実感します。
毎年、作品を見るたびに“どうやって作ったんだろう”と驚かされます。細部まで工夫が詰まっていて感心しますし、ユーモアのある作品には思わず笑ってしまいます。昨年の『ティラノサウルス』は子どもたちにも大人気で、ポストカードになると聞いたときは“いい取り組みだな”と感じました。
一つひとつの作品の裏側には、日々の生活の積み重ねや支援員・家族のサポートがあり、その人だからこそ生み出せる表現があります。会場を訪れると、そうした背景まで含めて作品から力を感じ取ることができます。そして、作品展は地域とのつながりを広げる場でもあります。初めて出会った来場者同士が「この作品いいね」と声をかけ合い、自然と交流が生まれる光景は、アートならではの力を感じさせてくれます。
近年は、作品をポストカードやグッズにして届ける取り組みも始まりました。会場での感動が日常に広がっていくことも作品展の大きな魅力です。

アート展は、障がいのある方が工夫を重ねながら生み出した表現が集まる場です。
世界に一つだけの作品に、ぜひ出会いに来てください。その瞬間にしか感じられない感動があり、心の奥深くに届く時間を、ぜひ体験していただきたいと思います。会場を歩くたびに、新しい発見にワクワクして、自然と笑顔になれると思います。

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