ホーム > 文化・スポーツ > 足立区立郷土博物館トップページ > 展示|足立区立郷土博物館 > 千住・足立の文化遺産展(前期)「香りたつ琳派の美」
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公開日:2025年4月21日 更新日:2025年4月21日
日本で最も権威ある美術雑誌「國華」(令和5年5月20日発行第1531号)で特集された、「千住・足立の文化遺産」の内容をもとに構成する企画展です。
前期では初披露となる村越向栄作の屏風をはじめ、千住・足立に根付いた琳派絵師たちの華やかな作品を中心に展示します。
※ 後期は令和8年2月開催予定
『國華』は、明治22年、美術指導者、岡倉天心(おかくらてんしん)らによって創刊された日本・東洋美術専門の研究誌で、現在も刊行されている世界最古の美術研究誌です。
令和5年5月、「特輯(集) 千住・足立の文化遺産」が組まれ、本誌ではじめて、仏教美術以外の絵画・工芸を中心とした分野において、地域を単位とした美術文化の実態を示す調査研究の成果が特集されました。
2025年4月26日(土曜日)から2025年6月29日(日曜日)まで
[期間中に作品の入れ替えを行います]
平成21年(2009)、千住の旧家で村越向栄(むらこしこうえい)作《十二カ月花卉図屏風》が確認されました。
これを契機に、平成24年(2012)の区制80周年記念事業の一環としてはじまった区内資料の集中的な調査事業「文化遺産調査」で、美術資料の調査が本格化することとなりました。以来10年以上にわたる調査研究の結果、江戸時代から足立には豊かな文化が広がっていたことが明らかとなりました。
江戸時代後期、千住を拠点とした俳人・絵師の建部巣兆(たけべそうちょう)は、琳派絵師の酒井抱一(さかいほういつ)や関東画壇の大家である谷文晁(たにぶんちょう)などと親しく交流し、絵や文芸を共に楽しみました。こうした千住・足立と江戸の文人交流は巣兆没後も続き、やがて、江戸の文人たちに影響を受けた舩津文渕(ふなつぶんえん)などの絵師が千住・足立に登場します。
彼らは町の人々の求めに応じて作品を手掛け、その作品は家々を彩る調度品として地域のくらしの中に根付いていきます。
千住の琳派絵師、村越其栄(むらこしきえい)の子の向栄は、其栄の寺子屋「東耕堂」を引き継いで地域の教育を担いながら、父から琳派の画法を学んで、地域の絵師としてくらしを彩る掛軸や屏風を手掛けました。其栄・向栄ら「千住の琳派」の活動を通じて、明治時代に至っても、江戸の酒井抱一(さかいほういつ)・鈴木其一(すずききいつ)より繋がれた琳派の絵が、千住・足立の生活文化の中に息づいていたことがわかります。
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村越向栄 十二カ月花卉図屏風(むらこしこうえい じゅうにかげつかきずびょうぶ) 季節の草花を12カ月ごとに描いた絵を貼りつけた六曲一双の屏風です。
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村越其栄 秋草図屏風(むらこしきえい あきくさずびょうぶ) 千住の琳派絵師、村越其栄は酒井抱一の高弟である鈴木其一から絵を学び、寺子屋「東耕堂」を営みながら地域のくらしを彩る掛軸や屏風を手掛けました。 |
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舩津文渕 四季草花図小襖(ふなつぶんえん しきそうかずこぶすま) 上沼田村(現 足立区江北)の大農家舩津文渕は、江戸の谷文晁に絵を学びました。
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村越向栄 月次景物図(むらこしこうえい つきなみけいぶつず) 12カ月各月を象徴する花鳥や各地の名勝が一幅ずつ描かれた作品です。
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初披露 一つの画面の中に、春夏秋冬の草花が描かれています。
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