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公開日:2020年11月4日 更新日:2020年11月29日

文化遺産調査特別展「名家のかがやき」

 

概要

江戸から明治にかけて、足立では美術と文化を愉しむ名家が誕生します。
日本最初の和独辞書を発行した日比谷健次郎家、幕府御用絵師狩野派の門人を生んだ石出掃部介家は、ともに狩野派の美術品や文化遺産を今日に伝えました。
本展覧会では、そうした美術品や教養文化に満ちあふれた逸品をご紹介します。

江戸近郊の郷士たち

江戸時代のはじめ、開発人という武士[郷士(ごうし)]たちが足立の農地を開きました。
それから200年、幕末にその子孫たちが再び郷士として活躍します。

小右衛門新田(現足立区中央本町・梅島付近)の開発人の子孫、日比谷健次郎は北辰一刀流の剣術道場を開き、幕府講武所とも連携するようになりました。
また、掃部新田(のちの千住掃部宿)の開発人、石出掃部介家は名字帯刀を許された千住宿の総代となり地域の運営を担いました。

文化の担い手として

郷士たちは学問や書画文芸にも精通し、ともに江戸の武家文化の中で好まれた狩野派の絵画をその生活の中で伝え、石出家は狩野派の画法を学ぶ人物を輩出します。
さらに日比谷家は、日本初の和独辞書を発行するなど文化の担い手となりました。

本展では、足立の歴史を代表する名家である彼ら郷士の家と、その縁戚の家々が伝えた貴重資料をご観覧いただきます。

会期

開催期間

2020年1129日(日曜日)から2021年223日(祝日・火曜日)まで
[資料保存のため、期間中に作品の入れ替えを行います]

開催期間中の休館日

  • 12月:7日  14日  21日  28日  29日  30日  31日
  • 1月:1日  2日  3日  4日  12日  18日  25日
  • 2月:1日  8日  15日  22日

開館カレンダー・イベントスケジュール

展示構成

1. 名家のくらし ―郷士の屋敷―

2. 狩野派とつながる名家 ―武家文化の絵画―

3. 次の時代へ ―『和獨對訳字林』―

主な展示資料

鉄黒漆塗亀甲鉄繋畳胴具足

「鉄黒漆塗亀甲鉄繋畳胴具足」江戸時代
(日比谷家伝来資料)

上級武士(1万石クラスの大名から上級旗本)が用いる具足。

黒漆の光沢が美しく、細部まで装飾が施された重厚感のある甲冑で、迫力のある面頬(顔を守り敵を威圧する装飾)は必見。


西王母・東方朔図屏風

狩野探信守政《西王母・東方朔図屏風》
(当館蔵・濱田家資料 [濱田家は石出家縁戚])

狩野探信守政は狩野探幽(江戸前期に活躍した狩野派の絵師で、江戸絵画の基礎を作ったとされる人物)の三男。
二つの屏風が対となっている江戸前期の作品で、間近で見ると細部の描写や鮮やかな色彩が美しく、時間を忘れて見入ってしまう。現存する守政の屏風作品は世界でも10 点に満たず、大変希少な逸品である。

西王母は古代中国の仙女。
宮殿の庭には3000 年に一度実がなる桃の木があり、実には不老不死の効能があったという(西遊記で孫悟空が盗もうとした桃としても描かれている)。

その桃を盗み800 年生きたという伝説を持つ男が東方朔。
桃を捧げ持つ仙人の姿で多くの画家が不老長寿のおめでたい画題として描いている。


和独対譯辞林

R.レーマン校訂 日比谷健次郎・加藤翠溪発行
『和獨對譯字林』明治10年(1877年)
(日比谷家伝来資料)

日本初の「和独辞書」。明治時代の外交を先導していた勝海舟が後書きを寄せており、この時期に出版された辞書がどれほど重要であったかがうかがえる。

日比谷健次郎と加藤翠溪(健次郎の義父)が出版したことが明記されている。健次郎と翠渓はドイツ語の翻訳家を探しに京都に足を運んで交渉も行っており、辞書はのちに大日本帝国憲法の参考となったプロイセン(ドイツ)との交流にも活用されたと考えられている。

日比谷家が文明開化期の外交や学術面を支援し、中枢を担っていたことが分かる貴重な資料である。
また、当時の外国語辞書は、中国で作られた漢語↔外国語の辞書をもとにしているため、日本語⇔漢語⇔外国語と二段階で翻訳が行われており、日比谷家が漢語にも精通していたことがうかがえる。


雲龍図

高田円乗《雲龍図》
(当館蔵・石出家資料)

黒雲から姿を現す龍を、巧みな墨の濃淡で描いた一作。

高田円乗は、江戸後期の狩野派の絵師。

石出家には円乗に弟子入りした人物がいたことから、円乗の作品や絵手本が多く伝わっており、このような狩野派の資料がまとまって残っている例は、全国的にも稀である。


四季草花図小襖

舩津文渕《四季草花図小襖》
(日比谷家伝来資料)

日比谷家の屋敷で袋戸として使用されていた四面の小襖。

嘉永六年に日比谷健次郎からの依頼で制作されたものであり、作者は上沼田村(現足立区江北地域)の豪農で、谷文晁に師事して絵師としても活動した舩津文渕である。

現存する文渕の日記(『菜菴雑記』、当館寄託)には「小右衛門新田新右衛門午之介同伴ニて参襖画頼ニ来ル」(三月九日条)と本作の依頼があってから、引き渡すまでの記録が残る(新右衛門は小右衛門新田の日比谷家を指す)。文渕は、千住近在の文人として鈴木其一ら江戸琳派の絵師とも交流が深く、相互に画風・画題の影響を与え合う環境にあった。

健次郎はこうした背景を理解した上で依頼をしたのか、本作も金箔地に四季の草花という江戸琳派の画風で描かれており、二つの流派(谷一門と琳派)の交流があったことが確認できる貴重な小襖である。


群鶏図屏風

渡辺省亭《群鶏図屏風》
(当館蔵・濱田家資料)

渡辺省亭(1851年から1918年)は、美術工芸品を制作・輸出する国策貿易会社、起立工商会社の画家・工芸図案家として、明治11年(1878年)にパリへ渡り、エドガー・ドガら印象派の画家たちと交友した人物であり、同地で刺激を受けた西洋画の画調を取り入れて、日本画と七宝などの工芸図案に新規な画風を展開した。

千住石出家の縁戚で、杉戸町(埼玉県)の豪農・豪商である濱田家は、省亭と明治30年前後より作品のやりとりをしており、「戊戌清和省亭逸人」の署名から明治31年の作とわかる本作もその一点と見られる。

水墨で描かれた芭蕉の下、群れる鶏たちは西洋 画風の写実 描写を基盤としつつ、背景を灰色に 染めて塗り残した部分を白く浮かび上がらせるという日本画の技法も駆使して描かれ、和洋の画法を股にかける省亭画の特色が表れている。


福禄寿図粉本

高田円乗門人 石出円得「福禄寿図粉本」
(当館蔵・石出家資料)

石出家に伝わる粉本の一点。裏に「福禄 主円得石出吉祐」と書き込みがされており、石出家に、高田円乗に師事して「円」の一字を引き継いだ「円得」の号を賜った吉祐という人物がいたことを伝えている。


北辰一刀流兵法箇条目録

「北辰一刀流兵法箇条目録」安政3年(1856年)
(日比谷家伝来資料)

千葉周作の三男で、北辰一刀流宗家である千葉道三郎より日比谷健次郎が授与された北辰一刀流の伝書。

巻子のはじめとなる金地の見返しには、赤い丸印を墨線でつないだ、渦型の北斗七星の図が描かれ、それに続いて「二之目付之事」、「切落之事」といった十二の兵法心得が列記される。

健次郎がこの目録を与えられたのは20歳の頃のことで、巻末には「安政三辰年十二月十五日」の年記が千葉道三郎の諱「光胤」の署名と共に記される。剣術家、日比谷健次郎の実力を物語る資料である。

出展一覧

出展資料リスト(PDF:539KB)

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[準備中]

過去の企画展情報

過去の企画展

 

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