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公開日:2023年4月7日 更新日:2023年4月7日

絵本は子どもに生き方を教えてくれる

あだち絵本シアター呼びかけ人 芝園開発株式会社 会長 海老沼孝二さん

海老沼孝二さん

お世話になった足立区に寄附を

子どもたちには絵本の楽しさを、大人には読み語りの大切さを知ってもらうために展開されている「あだち絵本シアター」。2018 年から始まったこの取り組みは、区内の子育てサロンや大型商業施設で定期的に開催。参加者からは、「子どもが夢中になって絵本を見ていた」「本の作り手の思いを知って、もっと大切に絵本を読みたいと思った」といった感想が多く寄せられ好評を博している。

この事業、実は社会貢献に前向きな区内企業からの寄附により成り立っている。

都内を中心に自転車駐車場運営などを営む「芝園開発株式会社」。その会長である海老沼孝二さんは「この地域で仕事をさせていただいていて、お世話になっているので。足立区に寄附をしたいという気持ちがあったんです」と語ってくれた。

芝園開発株式会社は、現在千住三丁目に本社を構えている。足立区のとの関わりは 62 年前、海老沼さんの父が綾瀬で建設業を営んでから。20代の頃から綾瀬駅周辺の放置自転車が気になり始めた。「世の中が 大きく変わりましたからね。特にオイルショック後は女性の社会進出も増えて自転車の数も急増しましたから」。

しかし、その社会変化に適応した駐輪場が圧倒的に足りない状況。そこで、パートで働く女性たちが便利に使える「必要なときに・必要なだけ」利用できる駐輪サービスを提供できれば、社会に受け入れられるのではないか、と考えたのが、自転車駐車場運営を営むきっかけ。2010 年頃から「綾瀬地区放置自転車対策プロジェクト」に取り組むなど足立区との関わり合いが深くなって いった。

2015年には海老沼さんが所属する「東京江北ロータリークラブ」の事業として行った「親子で楽しむ『ナカサン文庫』プロジェクト」で区役所内に絵本を寄贈。それを利用して、区役所の親子支援課(※)には窓口で待つ子どもが退屈しないよう「絵本コーナー」が設置された。この寄贈を通して、海老沼さんの心にはある思いが沸き上がってきたという。

それは、「1 回の寄付で終わるのでなく、これからの未来を担う子どもたちが笑顔になる取り組みを継続的に行っていきたい」という思いだった。

(※)親子支援課は、児童手当やひとり親家庭のための手当の給付を行っており多くの親子が来庁する。

看板

本社1階の駐輪場

芝園開発本社1階の駐輪場。施設内にはフィットネスクラブも併設されている

自転車のオブジェ

きっかけは“たくさんの笑顔”と“感謝の言葉”

「未来につながる活動に寄附をしたい」。

そう考えていたときに出会ったのは、俳優の中井貴惠さんの朗読会だった。

東京江北ロータリークラブの仲間だけでなく、絵本コーナーが設置された親子支援課とともに、ひとり親 家庭の親子向けに絵本の朗読会を開催することになった。
 

海老沼さん自身も出席し現場を見学したのだが、ひとたび中井さんが絵本を読み始めると子どもたちの 顔つきが明らかに変わるのが分かった。絵本を心から楽しむ子どもたちの、これまで出会ったことのな いような「たくさんの笑顔」に出会うことができた。また、朗読会後には「本当にありがとうございました」と多くの親御さんから感謝の言葉をもらった。

―――――「こういうことにお金を使いたい」

この経験が大きなきっかけとなり、会長自身が区内企業5社(※)に声をかけ足立区に寄附を開始。2018 年に区の事業として、海老沼さんたちがネーミングした「あだち絵本シアター」事業がスタートしたのだった。それ以降、趣旨に共感した企業も増えており、毎年継続して寄附を続けている。
海老沼さん

※令和4年度は、海老沼孝二氏のほか、5つの企業から寄附があった。(会社名50音順)

  • 株式会社建匠 代表取締役 塚越浩之 氏
  • 株式会社ケンズコミュニティ 代表取締役 塚越伸博 氏
  • 株式会社芝電機工業所 代表取締役 芝久雄 氏
  • 芝園開発株式会社 代表取締役 宮本薫 氏
  • 東京セントラルヒーティング工業株式会社 代表取締役 鎌田秀一 氏

協賛企業のメンバーと足立区長

協賛企業のメンバーと足立区長

自らイベントや運営にも参加

海老沼さん自身は幼少期、絵本にはあまり触れてこなかったというが、寄附をきっかけに自身も楽しみ ながら読み語りイベントやその運営に参加している。区の担当部署との打ち合わせやスケジュール管理 にも自ら取り組んでいる。何度もイベントに参加しているうちに、お気に入りの絵本もできた。

昔話として誰もが知る作品である「はなさかじいさん」、祖父と孫の話である「だいじょうぶ だいじょうぶ」、愛犬との思い出を物語にした「ずーっとずっとだいすきだよ」は特に好きな本だ。

「自分たちが子どもの頃は、何か悪いことをするとおじいちゃんやおばあちゃんに怒られたりしてね」。「最近は大家族じゃなくなってそういうことも少なくなりましたけれど」。

 

幼児期に絵本に触れることの大切さも語ってくれた。「絵本は子どもにも通じるわかりやすい言葉で、生き方を教えてくれますよね」。

絵本の写真

「はなさかじいさん」(大人と子供のための読みきかせの会)なかいきえ 文 /ひらのちよこ絵
「だいじょうぶ だいじょうぶ」(講談社)いとうひろし 作・絵
「ずーっと ずっと だいすきだよ」(評論社)ハンス・ウィルヘルム 絵と文/久山太市 訳

絵本を読む海老沼さん

足立区の「ごちゃごちゃ感」が好き

「足立区は『すぐそこに人のぬくもりがあるまち』ですよね。そういうところが僕は好きです」。

海老沼さんは浅草出身。幼いころから人との距離が近い環境で育ってきたという。

「道が狭く、路地裏なんかのごちゃごちゃしたようなところ。特にそういうところが好きかな」。 時に不便さを感じることもあるが、人と人との距離が近いことで、住んでいる人、働いている人の顔がよく見える感じがするのだという。

そんな環境で育つ足立の子どもたちの将来にも多くの期待を寄せている。

子どもたちが親になる日まで

「子どもは好奇心を膨らませていろいろな経験をして育ってほしい」。そう語る海老沼さんの目は常に未来を見ている。なぜ、海老沼さんは「親子での読み語り」に目を向けたのか? それは朗読会での経験は もちろん、この取り組みが 20 年、30 年と続いてほしいとの思いからだ。

寄附にあたって仲間に声をかけたのも、1 つの企業では浮き沈みもあり寄附が途絶えてしまうかもしれな い、同じ志を持つ人に声をかけ、途切れないようにするためだ。

「継続しなきゃ意味がないと思う。今の子どもたちが大人になって、自分の子どもたちに絵本を読んで くれるようになるまでやりたいね。関わった以上は責任がありますから」。

そう楽しそうに語る海老沼さんの表情は優しさであふれていた。

海老沼さん

DATA

あだち絵本シアター

https://www.city.adachi.tokyo.jp/toshokan/ehon_theater.html

芝園開発株式会社

足立区千住3-66-16

TEL:03-3870-0041(代)

ホームぺージ:https://www.sibazono.co.jp/

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