ホーム > 仕事・産業 > 産業情報 > ワーク・ライフ・バランス > ワーク・ライフ・バランス情報誌 > ワーク・ライフ・バランス情報誌Vol.1 > 【ワーク・ライフ・バランス情報誌インタビュー】社会福祉法人あいのわ福祉会
ここから本文です。
公開日:2025年11月14日 更新日:2025年11月14日
区内でワーク・ライフ・バランス推進に積極的に取り組む企業を訪問し、お話を伺いました。
ご紹介するのは、2020年度に厚生労働省「くるみん認定(*1)」を取得された「社会福祉法人あいのわ福祉会」です。
【企業概要】
社会福祉法人あいのわ福祉会
所在地:足立区青井4-30-5
電話:03-3849-1188
業務内容:障がい福祉サービス事業
ホームページ:http://www.ainowa.or.jp/
最高の職場環境が、最高の利用者サービスへ
育休中に子どもを連れての職場訪問、「あいのわ」では、ありふれた光景です
社会福祉法人として認可された1994年、ワーク・ライフ・バランスという言葉がまだ浸透していなかった頃から、働きやすさややりがいを持って働き続けられる環境づくりに尽力してきた社会福祉法人あいのわ福祉会。
ワーク・ライフ・バランス推進の取り組みについて、職員のお二人にお話を伺いました。
常務理事・事務局長
佐野 佑 さん

事務員
西井 千洋 さん

Q1.これまでのワーク・ライフ・バランス(以下、WLB)の取り組み
佐野さん:法人設立の段階からWLBを大切にする風土が醸成されていました。例えば、妊娠期・出産期、育児や復職に向けた制度も当時から整備されています。その後、WLB推進の取り組みを活性化させる転機となったのは、2016年に東京都「女性活躍推進大賞」優秀賞を受賞したことです。その少し前から、法人本部でWLBの本格的な取り組みを始め、2017年には、制度の活用を促す「ワーク・ライフ・バランス応援ガイドブック」を制作しました。ガイドブックを職員に配付することで、制度を活用しやすい環境を構築すると同時に、管理職や経営陣にも承認していただくことによりWLB推進の機運が高まっていきました。

ワーク・ライフ・バランス応援ガイドブック
Q2.各種認定取得のきっかけ、申請手続きなど
佐野さん:これまでに「東京都ライフ・ワーク・バランス推進企業認定」、「足立区ワーク・ライフ・バランス推進企業認定」、「くるみん認定(厚労省)」などを取得しています。もともとあった制度や実績を体系化し、東京都や足立区、国に当法人をきちんと評価していただいて表面化させようと考えました。また、認定制度取得により、働く職員たちにも職場の価値を実感してもらいたいという思いもありました。「くるみん認定」の取得は、子育てサポートの力強いメッセージになったのではないかと思います。申請手続きは簡単とは言いませんが、本部の中で担当を作って分散しながら対応しました。これまですべての認定に関わってきましたが社労士など外部に頼らず自前でやってきました。苦労した面もありますが、PRする場も増えましたし苦労した分の成果は必ず出てきます。認定取得を考えられている企業の方はぜひ検討いただきたいです。
Q3. WLB取り組み後の変化
佐野さん:各種認定取得により法人内の制度が整備されるにつれ、応援者や賛同者が増えたと感じています。制度の整備や認定取得は本部のみで推進することはできても、「残業時間を減らそう」、「有給休暇の取得率を上げよう」というようなことは、現場レベルで浸透しないと話が進みません。今は、法人内の空気も変わり、管理者も含め、法人全体でWLBを推進していこうという流れが醸成されています。余談ですが、応援ガイドブック制作時に誕生したWLB推進のキャラクターが職員の皆さんに好評で、その後、法人全体のキャラクターに成長するというサプライズもありました。

あいのわ イメージキャラクター のわくん&あいちゃん

Q4. WLBの取り組みのなかで苦労された経験
佐野さん:制度を構築すること以上に、制度を職員の皆さんに気兼ねなく利用していただくにはどうすればよいのか、また、管理職にWLBを共通認識として捉えていただくことに対しては苦労がありました。応援ガイドブックにより周知を促したり、産休・育休の取得に引け目や負い目を感じる方もいることに配慮し、管理職から応援のメッセージカードを渡すような制度も新たに設けました。お金をかけなくてもできることはたくさんあると思っています。
Q5.取り組みによる、ご自身および職員の方の変化
佐野さん:例えば、有給休暇の取得、不必要な残業の削減などは実行されていると思います。年間の有給休暇取得率は80%を超えていますし、月の残業時間の平均は3.6時間(1人あたり)です。産休・育休を取得する職員も毎年度、複数いらっしゃいますが、基本的に皆さん復職していただいています。
西井さん:私は、結婚や出産、育児を考えている時期に中途入職しました。入職後すぐに応援ガイドブックを渡され、お話いただいたことで「結婚しても大丈夫、プライベートも大切にできる職場」ということを実感しました。産休に入る時も職場の方にいろいろとサポートしていただけましたし、育児休業中には職場に子どもを連れてくることもありました。



Q6.人間関係や社内コミュニケーションなど、職場環境への取り組みや変化
佐野さん:お子さんの生まれた職員が気軽に子どもを連れて職場に来られるのは、コミュニケーションがしっかりと取れているからだと感じています。もちろん仕事には集中しますが、それ以外では私生活の話も含め、コミュニケーションの良好な職場であるからこそ各種制度を気兼ねなく利用できるのだと思っています。私自身、子どもの中学受験期の際にプライベートで忙しくなることを伝えると、上長から応援の言葉を掛けてくださり、快く休暇を認めていただきました。
Q7.人材確保におけるWLBの取り組みの効果
佐野さん:福祉業界は、人材確保において厳しい業界であり、毎年、人材募集での苦労があります。しかし、近年は、採用活動や定着の実績において、WLBの取り組みによる効果を実感しています。採用面接時にも、WLBの制度が気に入って面接を受けられたという方もいらっしゃり、この効果を実感しました。






Q8.仕事と育児の両立で工夫していること、今後育児休業を取得しようとしている方へのメッセージやアドバイス

西井さん:仕事にしても、育児にしても、まずは自分が元気でいることが大切だと考えています。早く寝るために日常をルーティン化して育児を行っています。また、自分の仕事は早め早めに終わらせるよう心掛け、子どもの発熱などにより休むようなときも、周りの方々になるべく負担を掛けないようにと考えています。それでも負担をお掛けすることがあるのですが、快く引き受けていただけるので本当にありがたく思っています。育児休業の取得に関しては、子どもの成長はあっという間で、その短い間を一緒に過ごす時間はとても貴重です。女性のみならず男性にも育児休業を利用してほしいと思います。
Q9.今後取り組んでいきたいこと
佐野さん:今後は、「ユースエール認定(*2)」「えるぼし認定(*3)」「もにす認定(*4)」などの取得を検討しています。認定制度の活用により当法人の社会的価値を高め、採用活動にもつなげていきたいと思います。職員の世代が若いのでまだ対象は多くありませんが、介護期の制度も整えています。職員の方にも当法人の価値を実感していただくと同時に、面談制度で職員のニーズを汲み上げ、職員一人ひとりが、それぞれのワークとライフの最適なバランスを実現していけるような制度設計を常に考えていければと思っています。
*1 「くるみん認定」
詳細は厚生労働省ホームページをご覧ください。
⇒厚生労働省「くるみん認定」(外部サイトへリンク)
*2 「ユースエール認定」
若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業を厚生労働大臣が認定する制度
⇒厚生労働省「ユースエール認定」(外部サイトへリンク)
*3 「えるぼし認定」
女性の活躍推進に関する取組の実施状況等が優良な企業を厚生労働大臣が認定する制度
⇒厚生労働省「えるぼし認定」(外部サイトへリンク)
*4 「もにす認定」
障害者雇用に関する優良な中小事業主を厚生労働大臣が認定する制度
⇒厚生労働省「もにす認定」(外部サイトへリンク)


こちらの記事も読まれています
お問い合わせ
このページに知りたい情報がない場合は