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公開日:2025年11月14日 更新日:2025年11月14日
区内でワーク・ライフ・バランス推進に積極的に取り組む企業を訪問し、お話を伺いました。
ご紹介するのは、2022年度に厚生労働省「えるぼし認定(*1)2段階目」を取得された「足立成和信用金庫」です。
【企業概要】
足立成和信用金庫(本社・本店・支店23店舗)
所在地:足立区千住1-4-16(本社・本店)
電話:03-3882-3227
業務内容:金融サービス業
ホームページ:https://www.adachiseiwa.co.jp/(外部サイトへリンク)
100周年の節目に職員の女性比率が50%を超える足立成和
多様な人材が輝ける職場です
職員の女性比率が間もなく50%を超えると予想される足立成和信用金庫では、女性の個性と能力が十分に発揮できる環境が整備され男女問わず多様な人材が活躍しています。今回は、ワーク・ライフ・バランス推進の取り組みについて職員のお二人にお話を伺いました。
人事部 部長 鈴木 透 さん(左)、人事部 人事グループ 課長代理 長谷川 笑 さん(右)

Q1.ワーク・ライフ・バランス(以下、WLB)の取り組みを始めたきっかけ
鈴木さん:金融業界では、退庫時間が遅い、働く時間が長い、サービス残業が多いというようなイメージが長く続いていました。そのような状況のなか職員の働きがいや、働きやすさを求めるきっかけとして、WLBに取り組む機運が高まりました。まずは、早く帰るために業務効率化を図るところからのスタートでしたが、不要な業務を取りまとめて解決する委員会を10年ほど前に立ち上げ、毎年、少しずつ改善を続けてきました。コストの問題もあり、業務効率化により働く時間を減らすことからのスタートでしたが、結果、職員の時間外労働が減りプライベートの時間が増え、金庫としては、残業代の支出が減ることで双方にメリットが生まれ、WLB推進の取り組みが活性化することとなりました。

Q2.「えるぼし認定」取得のきっかけ、申請手続きなど
鈴木さん:5年ほど前、女性活躍推進の一環として、成果を出している女性の管理職登用の動きがありました。その時期に、職員を管理・育成する女性管理職が誕生したのですが、職員への周知、地域に対して足立成和の女性活躍推進の取り組みを紹介していくために「えるぼし認定」取得が必要となり申請へと動き出しました。申請手続きは、女性管理職の下に数名の女性職員育成のための職員を配置し、各種調査などを行いながら段階的に「1段階目」「2段階目」の認定取得に至りました。先の管理職に登用された女性は、現在、執行役員店長となり、営業店の店長をしています。
Q3.ロールモデルの存在、女性のキャリアアップや活躍支援の事例等
鈴木さん:この執行役員店長を務める職員は、高校卒業後に入庫、その後、結婚して育児をしながら仕事をしていました。当時から家庭も仕事もとWLBを個人で推進するような働き方をしていて、自身が中間管理職になった時には、部下を育成しながら成果もしっかりと上げていました。その後、女性が支店長を務める他の信用金庫に出向したのち、足立成和に戻り店長に就任しました。現在、女性の店長は1人だけですが、執行役員店長は店長のなかでも最上位で、男女問わず職員が目指すべき存在の1人となっています。女性の執行役員店長の存在がロールモデルとなり、男女問わず、実績による登用制度があるということに関して、非常に働きがいを感じてくれていると思います。

モチベーションを高める、内勤をまとめるフロアリーダーのためのスワロフスキー
のバッチとネクストリーダーのためのお花のバッチ(発案者は現執行役員店長)
Q4.「えるぼし認定」を取得し女性の活躍を推進している企業にいて、女性として働きやすい、活躍しやすいと感じることころ、今後してみたいこと、目標など

長谷川さん:働きづらいと感じたことはありません。課長代理というポジションは中間管理職になるのですが、例えば同期の男性、独身の方などと比べて、自分のキャリアが劣っていると感じたこともありません。キャリアアップに関しては、頑張ったら頑張った分、評価していただけると感じていますし、業務上の意見もきちんと受け止めてくれるので、安心感がありとても働きやすい職場だと思います。当庫では女性がたくさん働いているので、最近では、女性だからというような考え方も無くなってきたのかなと感じています。
Q5.WLB取り組み後の変化
鈴木さん:時間管理では、週に2日「残業なしの日」を設定、17時以降の計画が立てやすくなったり、残業をしないための業務効率化推進、時間管理意識の高まりなどがありました。これまでは、15時に窓口を閉めたのでこれからゆっくり仕事始めましょうという雰囲気が普通でしたから。ロールモデルの存在、業務効率化や時間管理による働きやすさの実現により、昇進試験へ挑戦する女性職員の割合が増えたという一面もあります。
Q6. WLBの取り組みのなかで苦労された経験
鈴木さん:実際のところ、WLBの取り組みに対する反対意見、男性中心の前世代的な考え方からくる意見もいろいろとありました。WLBに取り組むなかで、一部の職員の意識がなかなか変わらなかったのですが、幹部職員の会議などで、理事長から発信していただくことなどを粘り強く続けることで、少しずつWLBの意図が社内風土として醸成されてきたと思います。
Q7.取り組みによる、ご自身および職員の方の変化
長谷川さん:育児中、子どもを保育園や学童に預けた時、17時に仕事が終われば、時短を取らずに迎えに行けることはありがたいですね。今はロールモデルとなる女性管理職の方もたくさんいて、進むべき道が見えているという安心感があります。子どもを育てながら働くことは、どの企業にいても同じだと思いますが、働きやすさを実感しています。
鈴木さん:私自身は、WLB推進のためにも率先して時間内に帰るようにしています。17時に終わらないこともありますが、水・金曜日は残業無しなので帰れますし、クラブ活動や歓送迎会などの予定を入れやすくなっているのではないでしょうか。
Q8.人間関係や社内コミュニケーションなど、職場環境への取り組みや変化
鈴木さん:足立成和は、区内と埼玉県南部の一部地域に本店本部・営業店・支店があるため、例えば就業後18時からイベントを開催するとしても全職員が集まることができます。年2回、全職員が集まるイベントの開催、11月には人事部主催の都内ホテルでの内定者を呼んで立食パーティーなど、職員同士のコミュニケーションは良好で、全職員が顔なじみであると言っても過言ではありません。職場環境も良く、家族を呼んでバーベキュー大会を開催するなど活発な交流も生まれています。

Q9.人材確保におけるWLBの取り組みの効果
鈴木さん:企業説明会などで、WLBの取り組みについて興味を持つ学生が多く、採用の面接で、足立成和の良かったところを聞くと、WLBの取り組みについての話がよく出てきます。また、育休を取得した女性が復帰して働き続ける、昇進して活躍の場が広がるなどの事例も増え、長く働き続けられる職場としての認識が醸成されつつあると感じています。
長谷川さん:育休中の方に子どもと集まってもらう「マザーズ」という会があって、社の現況・復帰についての話や交流をしています。最近はパートナーの方も参加していて、職場の中を知ってもらえる機会ですし、社内で子どもを抱っこして歩いているとみんな声を掛けてくれるので、そういう光景を見て企業にとって大切な人材なんだというのが伝わって良かったなと感じていますし、復帰の後押しにもつながっていると思います。

「あだちせいわ ワークライフバランス マザーズ会」の様子(男女参画プラザの講師派遣を利用することも)
Q10.今後取り組んでいきたいこと
鈴木さん:「えるぼし認定(3段階目)」取得を視野に入れ、今後さらに女性が働きやすい環境を整えていければと考えています。数年前まで当庫は、男性と女性の比率が7割:3割ほどでしたが、5年後までの人員計画によると、100周年を迎える来年度には、女性の割合が男性の割合を上回るという試算が出ています。
*1 「えるぼし認定」
詳細は厚生労働省ホームページをご覧ください。
⇒厚生労働省「えるぼし認定」(外部サイトへリンク)

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取材に訪問した「中央支店」前にて

千住にある「本社・本店」
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