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公開日:2026年2月5日 更新日:2026年2月5日

江戸木彫刻職人(仏像彫刻) 渡邉 宗雲

全てを尽くして生まれる仏像を後世に伝えたい

見ているだけで心が穏やかになる数々の仏像。主に寺院に収める仏像や個人からの依頼作品を制作しています。

わが子のように愛おしい作品の数々

大日如来 数々の作品の制作秘話について説明する眼差しは、制作された如来像と同じく優しく慈愛に満ちている。わが子のようだと語り、仏像を納めた寺院が天災にあえば、心配になってしまう。社寺彫刻を手掛ける堂宮彫刻師の父・崇雲(そううん)氏(代表作は浅草寺雷門の大提灯底の雲龍彫刻。足立区に伝統工芸師会 会長賞受賞作寶船を寄贈)を見て育ち、木彫刻を志す。美術大学に進学し、様々な美術・彫刻技術を学ぶ。作品は木彫だけでなく、ブロンズ像なども制作し区内の公園等に設置されている。

大学で伊藤礼太郎氏に出会い仏像彫刻を目指す。平櫛田中氏の制作を学ぶ機会を得て、卒業後は真海徳太朗氏のもとで3年基礎を学び、さらに西村房蔵氏に師事し5年後仏像彫刻師として独立。父が望んだ木彫刻の想いを継ぎ、別な道を進むことで肩を並べ、超える職人となった。学んだことを記したノートは今も工房に保管され、美しい作品を生み出す技術として生きづいている。大日如来は、制作に1年ほどかけている。

修復では、制作する対象物(菩薩・仏様など)に関して書物・美術展などでその背景を調べ、イメージを作る。例えば、現存するものに手が欠けている場合、どのようなポーズにするのか、それが仏道の教えに反するものでないかを徹底的に調査する。肖像(頂相彫刻)では、平面図しか残っていないものをどのように立体的に構成するのか。さらにその中に、今までにあるものの模倣ではなく目立つことはないが、宗雲氏の作品としてのオリジナリティを入れている。
仏像には「根則」といわれる比率が決まっており、これを用いて大きさを割り出し、粘土により立体的な原型を作る。そのため工房には多くの原型が保管されている。その後、木材の材質や木目を考え、長方形の木材から大きく彫る「粗彫」作業をし、星取り機と呼ばれるコンパスで根則どおりに彫り出していく。手や腕には寄木技術を活かし、体の内部は内剥りを施す。光背や瓔珞(ようらく)の繊細緻密な細工が施された彫刻から台座の蓮の花びら1枚1枚まで作業は一人で行う。

納得いくまで原型を作り、彫りすすめていくうちに木目にヤニが出てくると作品の邪魔になるので、別の材木で一からやり直す。尊いお姿に一切の妥協は許さない。「あれこれ考えているときはいい作品はできない。何かに導かれるように、心に何も無く彫りすすめるとき、素晴らしい作品と出会えます」。今でいう「ゾーン」という感覚でしょうか。宗雲さんのすべてが注がれ、仏像に心が宿る瞬間なのかも知れません。

最後に入れるのは「眼」であり、仏のまなざし。この慈愛に満ちたまなざしを生み出すために彫りの最終調整を行い、完成する。

自らと対話しながら行う仕事に対するやりがい

原木にノミを打つ際の「コンコンコン」という音は、亡父・崇雲氏の音に似ているという。この作業を通じて、親子は対話をしながら、自然と木に命を吹き込んでいる、そんな気がした。最後に宗雲氏にやりがいをうかがった。

作業風景-------こんな時代だからこそ「仏様」という尊いお姿に心の平安を持っていただきたいと思います。「仏様」のお顔は、実は人間と違い、極力左右対称にすることで、穏やかで美しいものになるように作っています。そして、仏像に興味を持っていただき、由来や功徳も知っていただき、理解を持っていただき、伝えていけたらいいと願っています。これほどまでに精神性を封じ込めた彫刻は仏像しかないと思っています。何百・何千年という期間で信仰いただける仏像を制作できることに、日々、気持ちを引き締め、やりがいを感じています。--------

足立区の伝統工芸に興味を持っていただこうと仏像のクリアファイルやライフワークとして、毎年、招福を願い、干支の置物を作成し、冬の足立伝統工芸品展に出展し、特別価格で提供している。宗雲さんの作品を身近に購入できる機会とあって、毎年集めているファンも多い。卯に始まり、一巡したので、終わりにしようかと思ったら、途中から集め始めた方からの期待もあり、好評でやめられないと笑う。「毎年、次はどんな作品を作ろうか、研究しています。」宗雲さんの作品は、高尾山薬王院の大天狗・小天狗など各地にあります。詳しくは工房のホームページ(外部サイトへリンク)をご覧ください。

江戸木彫刻

木彫刻の歴史は飛鳥時代にまで遡ります。その後仏教の影響で多くの仏像が彫られ、社寺の欄間などの建築彫刻も発達しました。現代でも幾多の木彫技術が継承され、他にもみこし、葬祭具等の付属彫刻など精緻で躍動的なものが作られています。

 

渡邉 宗雲

宗雲さん

1957年墨田区生まれ。本名敏泰。東京都伝統工芸士。
東京造形大学彫刻科入学と同時に、彫刻家に師事。1989年に独立。
2004年東京マイスター受賞。
寺社や個人からの受注の仏像などを制作。技術を生かした「木彫ルーペ」等も作成している。

渡邉宗雲仏像彫刻工房ホームページ(外部サイトへリンク)

木彫ルーペ

新伝統工芸 TOKYO CRAFTS & DESIGN

無垢の木材から一刀一刀削り出し、江戸木彫刻の繊細な造作をあしらった桜の木のルーペです。
仏師の匠の技とデザインを高次元で融合させ、現代の暮らしの中で木彫を身近に感じてもらいたい、そんな想いをカタチにしました。

デザイナー 渡邉純人・仏師 渡邉宗雲・東京都美術館監修

> 詳細を見る(外部サイトへリンク)

木彫ルーペ

「受け継がれ、受け継いでいく 音のあるまち あだち」

広報番組のサムネイル (外部サイトへリンク)

2019年2月に放送された足立区報道広報課製作の広報番組に渡邉宗雲氏が出演。

ものづくりの「音」に焦点をあてて、携わる方々のものづくりに懸ける想いに迫ります!
「仏像を彫る音」「篠笛を奏でる音」「心地いいリズムを刻む印刷機の音」
職人たちの技から生まれる「音」は、この街を、そしてこの国を創り上げてきました。足立のものづくりに携わる人たちのこだわりや、熱い想いをたくさんの人に知ってもらい、改めてものづくりの素晴らしさを感じていただきたいという思いで制作しました。
ぜひご覧ください!!

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