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公開日:2025年7月7日 更新日:2025年7月7日

足立区在住デフアスリート特別対談

「壁を越える、心でつながる」足立区在住デフアスリート特別対談

足立区には、デフリンピックなど世界大会で活躍されているトップアスリートがいます。競技にかける想いや日々の努力、そして日常のコミュニケーション。自らの限界に挑み続ける3人のデフアスリートに、その原動力と未来への想いを語ってもらいました!

 

「デフリンピック」とは...

デフとは英語で「耳がきこえない」という意味で、聴覚に障がいのあるアスリート=デフアスリートを対象とした「きこえない・きこえにくい人のオリンピック」です。今年、2025年に東京で開催される夏季デフリンピック競技大会は日本では初めての開催であり、第1回パリ大会からちょうど100周年となるメモリアルな大会になります。
足立区内では、綾瀬の東京武道館で柔道・空手の2競技が開催されます。

 

 

デフアスリートの皆さん

デフスポーツとの出会い

ー それぞれの競技を始めたきっかけを教えてください。

 

[湯澤選手]
私は、小さい頃に行った道場の体験ワークショップがすごく楽しくて、その時に「空手をやってみたい」と思いました。

[若松選手]
私は小学1年生の時に、友達に誘われたのがきっかけですね。そこからずっとバスケ一筋です。

[田苗選手]
私は家族でよくスキーに行っていて、小学4年生の時に参加した耳が聞こえない子どもたちが集まるスキーキャンプでアルペンスキーに出会いました。

 

ー 小さい頃の出会いが今につながっているんですね。皆さんは普段どれくらい練習されているんですか?

田苗選手「めちゃくちゃ体力つきました(笑)」

[湯澤選手]
週3回道場に通って、1回2時間の道場練習+個人練習で1日約4時間くらい練習してます。

[若松選手]
仕事の後に3時間くらい練習してます。土日は3〜4時間ほど。仕事との両立は大変ですが、リフレッシュにもなって楽しいです。

[田苗選手]
スキーは冬季スポーツなので、シーズン中は毎週末スキー場、大学が春休みの間は毎日山にこもっています。オフシーズンは自転車のロード競技を始めて、大学まで片道50kmを自転車で通ってます。

 

ー 50km!?通学だけですごく良いトレーニングになりそうですね。

[田苗選手]
めちゃくちゃ体力つきました(笑)

「伝えたい」という気持ちが、壁を越える力になる

ー 競技中、仲間とコミュニケーションをとる上で大切にしていることは何ですか?

若松選手「デフリンピックで金メダルを取る」

[湯澤選手]
空手の団体競技では、「みんなの気持ちを聞くこと」を大切にしています。気持ちのつながりが一番大切です。

[若松選手]
実は私はデフバスケだけでなく、健聴者(聴覚に障がいのない人)のバスケチームにも所属しています。なのでハンデを乗り越えるために自分から積極的に「これで合ってる?」って周りに確認したり、手で短いサインを作って素早く伝える練習をしたりしています。

[田苗選手]
私は常に健聴者のチームでプレーしてるので、仲間に通訳してもらったり、音声認識アプリを使ったりしています。「分からないことをそのままにしないこと」を一番大事にしています。

 

 

ー 日常生活でのコミュニケーションで工夫していることはありますか?

湯澤選手「積極的に話しかけてほしい」

[若松選手]
営業の仕事をしているのですが、リアクションを取ることを大切にしています。分かんないんだったら分かんないって顔に出すとか。目を見てコミュニケーションを取るとか。とにかく「聞こうとしてる姿勢」を見せるように心がけてますね。

[湯澤選手]
私は筆談(口で話す代わりに、互いに文字で書いて意思を伝え合うこと)で文字で書いてもらうようにしています。自分も文字で伝えるようにしていて、お互いの話が完全に理解できるようなコミュニケーションを意識しています。

[田苗選手]
私も筆談が基本です。UDトークという音声認識アプリも活用して言葉を文字化しています。実技の授業の時は、友達が助けてくれます。いつも支えてくれて感謝してます。

 

ー 健聴者に「こうしてほしい!」と思うことはありますか?

田苗選手「両親への感謝が大きい」

[湯澤選手]
 耳が聴こえにくいとなると、話しかけても聞こえないと思われて話しかけられないことがあるけど、聴覚障がいがあっても「話したい!」という気持ちはあります。なので壁を作らずどんどん積極的に話しかけてみてほしいと思います。

[若松選手]
同じく、コミュニケーションを取ることを諦めずに、伝える気持ちや努力をしてほしいなと思います。諦められてしまうと、やはりちょっと悲しいって思う気持ちもあるので。

[田苗選手]
あとは、話すときにマスクを取ってもらうとか、ちょっと身振りを交えてみるとか、そういう小さな工夫でもかなりコミュニケーションを取りやすくなるので、覚えておいてほしいなと思います。

支えてくれる人がいるから頑張れる

 

支えてくれる人がいるから頑張れる

ー 苦しい時、どんな思いが原動力になっていますか?

[湯澤選手]
応援してくれる人の存在です。「いつも応援してくれる人のために頑張りたい」と思えることが一番の力になります。

[若松選手]
私も同じです。デフバスケを始めてから、本当に応援してくれる人が増えたので、その人たちに結果で応えたいと強く思うようになりました。

[田苗選手]
私は特に両親への感謝が大きいです。そばでずっと見守ってくれているので、競技の結果で恩返しがしたいですね。

 

ー みなさん、とてもポジティブですよね。ポジティブでいるために心がけていることはありますか?

若松選手「伝える気持ちや努力をしてほしいなと思います」

[湯澤選手]
私はもともとネガティブな性格なんです。なので落ち込んでしまう前に、物事をポジティブに変換するようにしています。

[田苗選手]
私も嫌なことがあったら、まず考え方や見方を変えていきます。考え方をその都度変えて、自分の中でうまく対応しています。

[若松選手]
メンバーに選ばれなかった時とか悔しくて、「もうやめたい」って思うこともあるけど、泣くだけ泣いて、気持ちを切り替えます。そのうえで、何か大きいことを変えるのではなく、目の前の小さなステップを登れるように頑張ります。

 

ー 今、一番目標にしていることは何ですか?

[湯澤選手]
 やはり今年のデフリンピックです。デフリンピックまでに大会が10個ほどあるので、今はそれらの大会を一つ一つクリアしています。

湯澤選手「私はもともとネガティブな性格なんです」

 

[若松選手]
同じくデフリンピックで金メダルを取ることです。そのうえで多くの人にデフの文化を知ってほしいと思います。自分もデフ競技に出会ってから「手話って素晴らしい!」と感じたので、自分の活躍を通して手話に興味をもってもらい、デフの輪をもっともっと広げていけたらと思っています。

[田苗選手]
前回の冬季大会は銀メダルだったので、次は金メダルを取りたいです。さらに、ロードバイクでもいつかデフリンピックでメダルを取りたいと思っています。

 

 

ー みなさん、やっぱり今やっている競技に限らず、スポーツ全般得意なんですか?

[田苗選手]
得意かどうかは分かりませんが、体を動かすのは大好きです。皆さんもそうですか?

[若松選手]
いやもうバスケしかできないです(笑)

[湯澤選手]
私も球技が下手です(笑)だから田苗さんが色々できるの、すごいなあと思います。

みんなで、デフリンピック、デフアスリートたちを応援しましょう!

 

未来を信じて挑戦する子どもたちへ

ー 子どもたちに、自分の姿を通して伝えたいことはありますか?

[湯澤選手]
 空手は「礼に始まり礼に終わる」ので、挨拶や礼儀の大切さを感じてくれたらうれしいです。

[若松選手]
「諦めないこと」「笑顔でいること」の大切さですね。きっといいことがあるって信じて、チャレンジをしてほしいです。

[田苗選手]
「楽しむこと」が一番です。興味のあることを大切に、努力を続けていけば未来が広がると思います。

 

ー 最後に、足立区の子どもたちにメッセージをお願いします。

[湯澤選手]
たくさん失敗してください!その失敗を糧にして、もっともっと、強くなってください!

[若松選手]
とにかく明るく元気に!いろんなことに挑戦してほしいです!

[田苗選手]
将来に希望を持って、「楽しい!」を重ねていってください!

 

未来を信じて挑戦する子どもたちへ

 

2025年、東京でデフリンピックが開催されます。
音のない世界で、自分らしく競技に挑むデフアスリートたちが、東京に集まります。ひたむきに努力を重ねるその姿は、きっと多くの人の心に届くはずです。デフリンピックをきっかけに、多様な力や可能性に目を向けてみませんか?

 

みんなで、デフリンピック、デフアスリートたちを応援しましょう!

 

今回、お話しを聞いたデフアスリートの皆さん

田苗 優希(たなえ ゆき)選手

田苗 優希(たなえ ゆき)選手 [デフアルペンスキー]

2024年冬季デフリンピック競技大会(トルコにて開催)に出場し、アルペンスキー「スーパー大回転 女子」「大回転 女子」の2種目で銀メダルを獲得。

湯澤 葵(ゆざわ あおい)選手

湯澤 葵(ゆざわ あおい)選手 [デフ空手]

2022年夏季デフリンピック競技大会(ブラジルにて開催)に出場し、女子組手で銅メダルを獲得。

若松 優津(わかまつ ゆず)選手

若松 優津(わかまつ ゆず)選手 [デフバスケットボール]

2024年アジア太平洋デフバスケットボール選手権(オーストラリアにて開催)に出場し、優勝とともにMVPを獲得

 

※インタビュー内容は取材当時のものです。

 

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