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公開日:2024年5月16日 更新日:2024年5月16日
千代田区三宅坂にある国立劇場が建て替え中のため、文楽の5月公演が27日(月曜日)まで、シアター1010で開催中です。本公演は広報紙でもご紹介した11代目豊竹若太夫襲名披露ということもあり、私が観劇した12日(日曜日)は満席の大盛況でした。
まず、客席に入ると舞台に向かって右側に見慣れない装置が目に入りました。これは「盆まわし」と呼ばれる回り舞台で、太夫や三味線の奏者が登場して着座する文楽独特の仕掛けです。「やるならば本格的に」との思いから、客席をいくつか取り払って特別に設置したそうです。
若太夫さんはインタビューの際に「文楽は始まると人形を見たり、語りや三味線を聞いたり、字幕を読んだりと、忙しいですよ」とおっしゃっていましたが、まさにそのとおり。字幕は舞台中央の上部に映し出されますが、ついつい目で追ってしまいます。
襲名披露の演目は「和田合戦女舞鶴(わだかっせんおんなまいづる) 市若初陣の段」。クライマックスは先代将軍 源頼家の遺児の身代わりに、我が子の首を落として差し出す母、板額(はんがく)の嘆きの場面。身体そのものをふりしぼるかのような若太夫さんの語り。人形を操るのは人間国宝、3代目桐竹勘十郎さん。極限の選択をせざるを得なかった切ない母の姿に、会場からはすすり泣きも聞こえていました。
「江戸時代、芝居小屋は賑やかなところに立ちました。三宅坂ではそうもいきませんが、千住の立地は、当時の芝居小屋の雰囲気を思わせて良いですね」と若太夫さんに言っていただきました。益々のご活躍をお祈りいたします。
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