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公開日:2018年12月18日 更新日:2018年12月18日

あそんでまなぶオモシロうきよえ

「おもちゃ絵」とは

足立区立郷土博物館収蔵浮世絵コレクションには「おもちゃ絵」とよばれるジャンルがあります。

子どもの遊び用に製作された浮世絵(うきよえ)の一種で、組上げ絵(くみあげえ)、影絵(かげえ)、づくし絵(づくしえ)などの種類があります。

浮世絵師(うきよえし)によって描(えが)かれるようになったのは寛政頃(かんせいごろ。1789から1801年)といわれ、特に安政年間(あんせいねんかん。1854から1860年)から明治時代中頃(めいじじだいなかごろ)にかけて流行しました。

歌川芳藤(うたがわよしふじ)は「おもちゃ絵のよし藤」として特に知られています。

作品としての美しさを鑑賞するよりも、切り貼りして組み立てたり、遊んだりするものです。学習の教材としても使われました。

遊びに使ってしまうため大量に製作されたものにもかかわらず、残りにくい浮世絵です。

1.尽くし絵(づくしえ)

「何々づくし」と名付けられることが多く、武者(むしゃ)や力士(りきし)、獣(けもの)、家庭用品(かていようひん)、人力車(じんりきしゃ)など一つの題材を取り上げ、一枚の絵にさまざまな図柄を並べたものです。絵を見て楽しんだり、切り貼りして遊んだりしました。


新版鳥づくし

2.組み上げ絵/立版古(くみあげえ/たてばんこ)

厚紙に貼り、ハサミや小刀などを使って切り抜いて組み立てることができます。手先の器用さを養ったともいわれます。

組み上げ絵(立版古)は、「切組灯籠」、「組み上げ灯籠」などとよばれ、お盆の灯籠がおもちゃ化されたもので、歌舞伎などに取り上げられた歴史物語の名場面を表現したものです。その面白さは、組み上げたときの効果的な遠近感や立体感です。元来はお盆のころに夕涼みにあわせて軒下に飾り、そうろくや豆電球などで照らして楽しみました。

江戸時代の後期から大正期にかけて盛んに作られ、作り手としては限られた紙面の中に要領よく各部分を割り付ける発想力も必要で、葛飾北斎や歌川国長、豊久なども多くの作品を描いたといわれています。歌川芳藤の作品は、出来上がりの精細さ、遠近の広がりなど、大変すぐれています。


新板神輿組み上げ

3.さまざまなおもちゃ絵

サイコロを使って楽しむ絵双六(えすごろく)、障子に映る影を描いた影絵(かげえ)、語呂合わせによる言葉遊びを表した地口絵(じぐちえ)、折りたたむと別の絵が現れる畳変わり絵(たたみがわりえ)など、組み立てて動かすと絵柄が変わって遊べるものなど、さまざまなおもちゃ絵が作られ、多彩な楽しみ方がありました。

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