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公開日:2018年12月18日 更新日:2018年12月18日

伊勢神宮絵馬

伊勢に行きたや 伊勢道が見たい

三重県伊勢市にある伊勢神宮を信仰する仲間を伊勢講といい、伊勢神宮への代参を中心として全国的に行われていました。


神宮の付近の名所(大鷲神社・明治23年)

毎年、順番にあるいはくじ引きなどによって数名を選び、選ばれたものが代表して仲間で積み立てた費用で参拝し、伊勢神宮のお札をいただいて講中に配るのです。


神楽奉納(江北火川神社・大正9年)

足立区周辺では、伊勢講の組織はほとんどなく、定期的に代参が行われていたというような伝承もありません。伊勢講や伊勢参拝が比較的希薄な地域かもしれませんが、奉納絵馬のなかに、伊勢参拝のもの、伊勢講と名称のあるものを見ることができます。

奉納年代は、江戸末期から昭和初期、なかでも明治期のものが多く見られます。絵馬に描かれるのは、「太々神楽奉納」、「神宮、御神橋、五十鈴川」、「神宮、朝熊山、二見ケ浦」などです。なかには、神宮参拝と同時に足を伸ばしたのでしょうか、香川県の金比羅宮、厳島神社、比叡山延暦寺などまで一緒に描かれているものもあります。

限られた空間のなかに、神宮を取り巻く名所が描かれ、当時の御参詣の様子をうかがうことができます。なかでも、「お伊勢参らば朝熊をかけよ、朝熊かけねば片参り」とうたわれる朝熊山金剛証寺への参拝は、現在より時間も労力も掛かったはずですが、伊勢参りの参り方をきちんと守っているといえましょう。

神宮の太々神楽は、かつては伊勢外宮の御師(おんし)などによって行われたものです。太々神楽を奉納することも伊勢参宮の大きな目的となり、伊勢講=伊勢太々講という名前も使われました。神楽奉納の図や神宮の図は木版の刷り物となって伊勢土産として、各地に持ち帰られ、画一化した図柄から絵馬の図案としても活用されたことがうかがわれます。それでも、奉納者名と奉納者の絵の人数を合わせるなどの注文主の意向にそったことがうかがわれます。

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