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公開日:2021年12月22日 更新日:2023年8月18日
「読む団地」入居者 フリーランス・システムエンジニア 川上 望(かわかみ のぞみ)さん
「自分の感じているしんどさは何だろう」。がんばり続けていた前職時代、気づきをくれたのは「本」だった。
会社を辞めて栃木の実家にいたとき、「本」がテーマのシェアハウス「読む団地」を知った。荷物も少なくてすみ、場所も都心すぎず田舎すぎないのでちょうどいいと思い、入居を決めた。一人暮らしのときとは違って、入居後も寂しさを感じることはない。個室はあるが、リビングとキッチンは共有なので、ほぼ毎日誰かと交流がある。人の輪の中にいるのは、嫌いじゃない。安心感もあり、自分の時間や空間もあっていいバランスだと思う。他の入居者とも良い距離感を築くことができ、住み心地も良い。
もともと本が好きで、本がたくさん並んでいるというのは、入居の決め手の一つだった。広いリビングルームにある本棚をぼーっと眺めているのが好きだ。書店や図書館で出会わないような本との出会いもあった。
「読む団地」で川上さんが出会い、影響を受けた3冊
本を読むなかで、子育ては女性の方に負担がかかりすぎていること、高齢者が孤立していることなど、自分とは違う世代や立場の人たちのつらさにも気づくようになった。新しい価値観に出会うと、何がつらいのか分からなかった自分のつらさも和らいでくる気がした。読む団地で過ごすうちに、ものの見え方が変わってきた。多様な世代や世帯が集まる団地の中に、独身の若い世代が多く住むシェアハウス。この場所に存在する意味や、そこに自分がいる意味を何となく考えるようになった。
「読む団地」は、子どもからお年寄りまで暮らす大谷田一丁目団地の中にある。緑が多く、雰囲気も良い
広々としたリビングルームで入居者同士で雑談したり、一人で落ち着いて本を読んだり自由に過ごしている
リビングルームの本棚には、たくさんの本が並ぶ
入居者同士の交流の場になっているキッチンスペース
一人ひとりの部屋の前にあるマイブック図書館には、入居者それぞれのお気に入りの本が並ぶ
ここ大谷田一丁目団地では、20代・30代の若い世代が集まるシェアハウス「読む団地」の住民と、団地内の高齢者や家族のいる世帯との交流はあまりない。お互いが感じていることやつらさも知らないまま、想像しないまま過ごしている。団地内の見えない溝がある気がした。その溝を埋められるのは若い人、つまり、自分の役割ではないかと思った。
思いついたのは、読む団地に隣接している「コミュニティラウンジ(BOOKMARK)」だった。内装が洗練されていて、近隣の人が興味ありそうに近くを通っているのに、あまり活用されておらずもったいない。もっと地域の人に使ってもらいたい。広くて落ち着いていて、作業するのにはうってつけの場所。団地の中や近隣の住民でも、在宅勤務で、誰にも会わず、部屋の中で1人きりで過ごしている人がいるのではないか。そう考えて、コワーキングスペースとして開くことを考えた。
コワーキングスペースをやってみたいと話すと、デザインが得意な他の入居者がチラシ作りを引き受けてくれた。シェアハウスの入居者たちは、自分のやりたいことと近ければ、手伝ってくれる。自分も他の入居者の企画を手伝ったこともある。運営者のJSも協力してくれ、団地入口の掲示板に貼り、フェイスブックで周知もした。
当日の参加者は8人ほど。シェアハウス以外の人も参加してくれた。仕事中は各々、作業に集中していた。ラウンジのキッチンにあるコーヒーマシンはJSの協力を得て、誰もが好きなタイミングで使えた。コーヒーを飲みながら作業をしている人もいて、部屋にはコーヒーの良い香りが漂っていた。
いつもとは違う光景だが、居心地が良かった。この地域の写真をたくさん撮っていてそれを展示したいという企画をJSに相談している参加者もいた。団地の住民にも、自分と同じように、地域のために何かしたい人がいるという発見もあった。
コワーキングスペースとして開放したコミュニティラウンジ(BOOKMARK)。イベント時は近隣住民も出入りできる
コワーキングスペースの1日が終わるころ、連絡先の交換をするなど参加者同士の交流もあった。普通に生活していたら知り合えなかったであろう人にも出会え、また開いてほしいという声ももらった。主催者として初めてのイベントだったので、緊張していたが、そういう声を聴いて、このイベントをやって良かったと思った。
今後は、「あの場所はいつでも開いてる」と思ってもらえるくらい定期的に開催できたらいいなと思っている。近所の子どもから高齢の方まで気軽に訪れることができる場所。学校や家庭以外のもう一つの居場所になれたらと考えている。
コミュニティラウンジ(BOOKMARK)にはキッチンもあり、豆を持参すればコーヒーも淹れられる。コーヒー片手に入居者同士の交流も
読む団地と出会い、住むうちに、地域のことにも興味を持ち、もっと色々と知りたいという気持ちが芽生えてきた。思い立って自治会にも入った。足立区でお気に入りの場所も見つけた。特に好きなのは、荒川だ。河川敷を自転車で走ると気持ちがいい。休日には社会人サークルのメンバーとアルティメットを楽しんでいる。
これまでは、人をまとめることには苦手意識があり、避けてきた。だけど、ここにいて「小さなことからやればできる」という気づきがあった。だから「とりあえずやってみよう」と思っている。2年前には想像もしなかった自分がいる。
1.出生地/栃木市
2.足立区歴/約2年
3.足立区に来た理由/読む団地入居
4.足立区の好きなもの、こと、人/北千住のマメココロ
5.あなたにとって足立区とは/日常を暮らすにはちょうどいい町
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