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公開日:2021年12月22日 更新日:2023年8月18日

【20トン。廃棄寸前のデニムを買った】 

株式会社ヤマサワプレス 代表取締役 山澤 亮治(やまさわ りょうじ)さん

山澤さん

足立区花畑のまちの一画。そこには通りがかったら思わず二度見してしまうような、大量のデニムが並んでいた。ここヤマサワプレスでいったい何が行われているのだろう。代表の山澤さんに話を聞いた。

デニム

自宅リビングの1台のミシンから始まった

ヤマサワプレスはアイロンプレス職人の父の技術を生かし、1995年に創業した会社だ。服が店頭に並ぶ前の検品やタグ付け、アイロン仕上げなどが本業だ。流通の最終工程だからこそ、いろいろな無理難題を頼まれる中で培ってきた技術がある。
アパレル業界が海外での大量生産にシフトした結果、日本に届いた時点でベルトループがついていなかったり汚れがついていたり…。そんな商品を、自宅リビングにあったミシンで直したのが始まりだったという。今では、数多くのアパレルブランドを取り扱うまでに成長し、事業の大きな柱となった。

外観

ロサンゼルスでの衝撃

山澤さんは、本業のアイロンプレス事業を続けながら、子どもの頃から好きだった古着を扱った新しいビジネスを立ち上げたいと思っていた。その参考にと、2019年6年、ロサンゼルスのとある古着市場を訪れた。そこにあったのは10トンのデニムの塊。衝撃だった。ショートパンツの製造過程で切り離されたリーバイス501の足の部分。他に買い手がいないという。

デニム

デニム
 

「中学生のときに古着屋で初めて出会ってからずっと501が好きだから。捨てられるのはもったいない」と、帰国後すぐ購入を決意。さらに追加で10トン、今度は着用不可能なほど傷み、汚れたデニムを購入した。合計20トンの廃棄寸前のデニムを目の前にしても、リーバイス501が好きだから、今まで培ってきた技術があるから、そして仲間がいたから、蘇らせる自信があった。山澤さん自身が客として通っていた古着屋のオーナーや、洗濯の専門家の友人。これまで紡いできた縁や技術を結集させた。

山澤さん  デニム

倉庫には購入したリーバイス501が所狭しと置かれている

自分たちでデニムを蘇らせる

洗浄したデニム生地をつなぎ合わせたシートを持って、アパレルメーカーに営業をかけた。しかし、同じものがふたつとないその生地は、同じ型の商品を大量生産するメーカー側には受け入れられなかった。「それなら、自分たちで作ろう」。「ものづくり」に舵を切って1年以上が経った今では、リメイクした商品を販売するショップも、工場の敷地内に作った。蘇らせたデニムが目に見える製品の形になってきている。

デニム洗浄

すべて手作業で1本1本丁寧に洗浄している

店内の様子

リメイク商品

ショップでは、ヤマサワプレスで洗浄・加工したリメイク商品等を販売

足立区の町工場から生まれた思いが広がる

一方で、この動きが過剰生産、大量廃棄という社会課題に直面するアパレル業界の目に留まった。廃棄寸前だったリーバイス501に新しい価値を吹き込もうとするヤマサワプレスの思いに、三越伊勢丹の若手バイヤーが強く共感したのだ。業界各方面に幅広いつながりを持つバイヤーの呼びかけに応じ、企業の垣根を越えて三越伊勢丹と阪急阪神百貨店などが協力。ヤマサワプレスが蘇らせたデニムと国内外のデザイナーとのコラボレーションを進めている。

デニム

50以上のブランドの協力で生まれ変わりつつある20トンの「リーバイス501」。2022年春には三越伊勢丹などで販売がスタートする。「好きだから。捨てられるのはもったいない」という思いから足立区の町工場で始まった取り組みが、様々な人の縁を紡ぎ、思いが形となってファッションを楽しむ人へと届けられていく。

山澤さん

5つの質問

1.出生地/足立区江北
2.足立区歴/46年
3.足立区に来た理由/足立区出身なので
4.足立区の好きなもの、こと、人/人情味。荒川の土手。北野武さん
5.あなたにとって足立区とは/空気みたいなもの

DATA
株式会社ヤマサワプレス
足立区花畑1-8-15
03-5242-8377
http://www.yamasawapress.jp

 

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