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公開日:2023年4月7日 更新日:2023年4月7日
「ごたんだじゃないよ。ごたんのだよ」。ユーモアあるフレーズで盛りたてる五反野駅前の商店街。子どもたちの仮装パレードや音楽フェスティバルなどのイベントも開催されている。メイン通りには中華料理屋やたい焼き屋など50年近く続いている店があるなか、路地裏や駅から少しだけ離れた立地に個性的な新しい店が増えている。
なぜ、五反野駅という場所を選んだのか? 2つの店舗に話を聞いた。
「五反野のことは知らなかった」と話すのは、どこかヨーロッパの街角を思わせるパン屋「Tempus(テンプス)」のオーナー大野陽平さん。
「Tempus」の前で、オーナーの大野陽平さん
専門学校卒業後、ドイツに渡り修行。ドイツに行こうと思ったのは、ドイツパンがどういうものか知らなくて興味が湧いたからだった。ドイツで暮らしてみて、「ドイツ人にとっては、パンは身近にあって当たり前のもの。日本人でいう米と一緒」と感じ、自分も日常使いできる飽きのこないパンを作りたいと思うようになった。
その後、神奈川と東京を中心にパン屋で働いた。パン屋になる夢は叶えることはできたが、自分の今までの経験や思い出、人との交流など20年近く過ごした時間を形にして表したい、店を持ちたいと思うようになった。店の場所は、なじみのある江戸川区や荒川区などを調べていたが、家賃が希望より高い。まずは、実際に物件を見ないと始まらない。そう思い、初めて見に行ったのは足立区五反野だった。
駅から店までの道を歩くと、幼稚園から子どもが楽しそうに遊んでいる声が聞こえる。「ゆったりと落ち着いた雰囲気だな」。全く知らないまちになじんでいる自分がいた。運命的なものを感じ、この場所に決めた。
開店時間までに仕込みを終わらせるため、店に入る時間は午前3時半からと朝が早い。また、駅から離れ人通りが少ないためか平日は客が入らないなど苦労が多いのも事実。大変だけど、「この店がここにあって良かった」と言ってくれる人がいた。うれしかった。だから、なんとかがんばっていける。「近所の人がパジャマでフラッと来てもらえるくらい気軽な感じで自分の作ったパンを食べてもらいたい」と思っている。
「Tempus」のパン。毎日30種類以上作っている
オープンから3年間、常連客も増えた。常連客と話すうちに、店内のイートインスペースを絵の展示やワークショップのスペースとして貸し出すようになった。五反野に来たときは、知り合いはいなかったが、今では飲み仲間もできた。
「五反野の好きなところは人が温かい」。
店内のフリースペースでパンを食べることもできる
「Tempus」(右)の隣にやはり若い世代が開業した自家焙煎珈琲「ゆるり珈琲」(左)がある。ここで購入した美味しいコーヒーを「Tempus」に持ち込むこともできる
広々としてシンプルな内装が落ち着く、イタリア料理店「SATHI KITCHEN(シャティキッチン)」。オーナーシェフであるコンドカレ・エムディ・サディオ・ラーマンさんも五反野のことは全く知らなかった。
学業のために18歳の時にバングラデシュから来日。初めての日本でのアルバイトがイタリア料理店だった。はじめはシェフになるつもりはなかったが、バイト先の先輩シェフに勧められてシェフになろうと決めた。イタリア料理店で7年間勤め、独立しようと思い、知り合いの不動産屋オーナーにどこかいい場所がないか相談した。今、ちょうど空いている店あるから使っていいよと言われ、紹介されたのがこの場所だった。
初めて五反野駅周辺を歩いたとき、見回すとコロナ禍で人が少なかった。本当にここで店ができるのか不安だった。それでも、広い店内が気に入ったこと、自分が考えた店の雰囲気・自分の作った料理で落ち着いて癒されてほしい。その思いが強く、ここで店を始めることを決意した。パンもスープも全部手作りにして、フォアグラのロッシーニという目玉商品も作り、五反野に住む人たちに愛される店になろうとがんばってきた。
今では常連客が増え、お客さんに「美味しくて雰囲気のいいイタリア料理が五反野になかったのでうれしい」と言われるようになった。店を初めて2年、もっと店を大きくしていきたいと思っている。
「SATHI KITCHEN」オーナーのラーマンさんと妻のシャティさん
「SATHI KITCHEN」のランチはリーズナブルで美味しいと人気
五反野路地裏には他にも、全国のこだわり野菜の販売などを行う古民家、DJブースがある酒屋などエッジの効いた個性派ショップが目立つ。駅から徒歩圏内で広さの割に家賃が押さえられることもあり、実力派起業者の出店が増えている。
五反野駅前の商店街のイベントを始めとした活動はここ10年近く続いており、その影響かボランティアなど外の人を受け入れる空気が五反野周辺にはある。新しい店や珍しい店も受け入れるまちの人の懐の深さも、区外からの出店を後押ししているかもしれない。
このエリアから今、目が離せない。
古民家「野菜日和」のオーナー老沼裕也さんと妻の絵里子さん
古民家「野菜日和」では月に1度の青果販売以外に、老沼さんが足立区をはじめ全国を巡って、関係を築いた農家さんとの交流会や餅つき大会などのイベントも行う。都市と地方農家を結び、日本の食を支える生産者を応援するともに地域の活性化も目指して活動しており、足立の銭湯とコラボしフレッシュなフルーツを浮かべる季節湯(香り湯)の企画もしている
DJブースのある酒屋「ことより酒店」店主の琴寄伸之さん(右)と料理を担当する姉の荒川由紀江さん(左)。伸之さんはもともとレコード好きでたくさん持っていたコレクションを店内に展示。コレクションを使って月に2から3回程度、DJイベントも行っている
店内のあちらこちらに酒を飲めるスペースがさりげなく設けられている。タップで提供されるクラフトビールのほか自然派ワイン、10種以上の日本酒をメニューに掲げるほか、店内の棚から選んだ酒を飲むことも。日替わりのポテサラ他、つまみも充実。現在のスタイルに改装するにあたっては、全国の飲食店をめぐって研究したそう
店外のソファには、ペット連れで飲みに来る人も
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