ホーム > 区政情報 > 広報・報道 > シティプロモーション > あだちから新聞 > あだちから新聞Vol.3 > 【あだちから新聞インタビュー】 「みんなでつくる、みんなの居場所」ぶんこ食堂
ここから本文です。
公開日:2023年3月15日 更新日:2023年3月15日
文教大学 学生任意団体 ぶんこ食堂
「1日3食満足に食べられない子どもが日本にもいる」。その事実を知った文教大学国際学部4年生の内田イオナさんは、令和3年4月に開設した花畑の新校舎で、お弁当の配布・販売を行う「ぶんこ食堂」を始める決意をした。「ぶんこ」とは文教大学公式マスコットキャラクター「BUNKO」(右絵)からきている。
ただ、高齢化率が3割を超えるこの地では、お年寄りの居場所もあるといい。食堂は毎月第2日曜日、老若男女に開かれ、みんなの安心できる居場所を目指す。コロナ禍の現在、食堂はお弁当の配布(子ども無料、大人100円)で開催している。
お弁当配布の準備をする内田さん(写真右)
令和3年12月のスタート以降、地域への周知や口コミで来場者は増え、今ではお弁当の整理券配布が始まるとあっという間になくなってしまうほど盛況となった。最初の頃はお弁当の配布ギリギリまで準備に時間がかかっていたが、今では余裕をもって運営できるようになった。
この安定した運営は、学生の力だけで成り立っているのではない。食材の調達・運搬、保管場所・調理場の確保、調理補助など、多くの人が支えている。
お弁当配布の様子。会場は文教大学の学生食堂
花畑地域で永年、青少年の健全育成をはじめ様々な活動をしている山本一喜さんは、車で食材とお弁当を運んでいる。御年75歳となるが「体がちゃんとしてる間はやりたい」と意気込む。
「子どもから高齢者までみんなの居場所をつくるという理念は、青少年健全育成の理念とも合致する。お互いが力を合わせれば見かけは1+1だが、力は2以上になる」と話し、花畑地域と大学が共に成長する未来を「ぶんこ食堂」に見出している。
車による運搬は山本さんが担っている
放課後等デイサービス(※)「あある」に通う生徒は、お弁当の装飾用に折り紙を折ったり、当日のお弁当配布を手伝う。「あある」職員の面来知子さんは「生徒にとって食堂のお手伝いは、仕事のイメージにつながる貴重な機会です。お手伝いを経験した子たちは、その後の生活ですごく積極的になるんです。今後もボランティアとして関わり続けたいと思っています」と、支援する側にもメリットがあると語る。
※ 放課後等デイサービス:障がいや発達に特性のある児童が放課後や長期休暇に利用できる福祉サービス
お弁当を手渡す「あある」の生徒
西新井でこども食堂「ピース食堂」を運営する矢沢りえさんは、第1回「ぶんこ食堂」開催の3日前に内田さんから電話を受けた。予定していた調理場が急遽使用できなくなったというのだ。開催日が迫っていたが矢沢さんの的確なアドバイスで、無事近隣の地域学習センターの調理場の予約を取り付けることができた。
「ぶんこ食堂の魅力は学生の“なんでもやっちゃう”行動力と柔軟さだと思います。ひた向きで、でもちょっと足りない姿を見ると何かしてあげたくなるんです」と話し、今でも様子を見に行くことがあるそうだ。
関わる人たちは誰一人としてそれを負担に感じておらず、活動に関わることで得られるやりがいのほうが大きいようだ。食堂が目指す多世代交流は、何も来場者に限った話ではない。日頃接点のない人たちの想いを「ぶんこ食堂」がつなぎ、地域の人たちにお弁当が届いていく。
令和5年1月のお弁当はおにぎり、具だくさん豚汁、果物のセット
大学生活は4年間。後継者への引継ぎは避けて通れない。内田さんからバトンを受け取った文教大学3年生の中村夏鈴(かりん)さんと鍋岡玲奈(れな)さんは「先日初めて新世代主導で食堂を開いたんですが、至らない点だらけでした。でも終わった後に先輩たちから“初めてのことも多かったけど、がんばったね”って声をかけてもらって、うれしかったです。先輩たちが作った、楽しくて優しい雰囲気を後輩たちに受け継いでいきたいです」と話す。
これからもずっと、文教大学は花畑と共にあり続ける。学生がまちを巻き込みつなぐバトンが、花畑のまちに小さなムーブメントを起こしつつある。
新副代表の鍋岡さん(左)前代表の内田さん(右)
こちらの記事も読まれています
お問い合わせ
シティプロモーション課
電話番号:03-3880-5803
ファクス:03-3880-5610
Eメール:city-pro@city.adachi.tokyo.jp
このページに知りたい情報がない場合は