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公開日:2020年11月13日 更新日:2022年12月16日

「地域愛をつむぐ沿線グラス」

安心堂 社長 丸山有子さん

沿線グラス

 

仕事がぱたり途絶えた日

2020年の2月末、仕事の依頼がぱたり、途絶えた。

パッド印刷という、どんな曲面でも小さなスペースでも、1個からでも印刷ができる技術に秀でる安心堂では、イベントグッズやアーティストグッズ、ノベルティなどの仕事が多く、コロナの影響は直接的に及んだ。

父のあとを継ぎ、社長に就任したのは2020年4月1日。

会社を継ぐべきなのか、たたむ道を選ぶべきなのか。印刷ってそもそも何のためにあるのか。私たちの仕事って、生きるうえで必要じゃなかったのか・・・

 

静まり返る工場でそんな思いにとらわれる日もあったという丸山さん。

しかしある日、千住で居酒屋プエドバルを営む植村昭雄さんから依頼が舞い込む。酒造販売の許可をとるので酒瓶50本に印刷をしたい、それも許可が下りる月曜日までに、と。コロナ禍をアイデアで乗り切ろうとする飲食店の熱い思いを受け、何とか納期内に仕上げたいと思い、がんばったという。

そして、納品。ものすごく喜ばれた。「短時間でよくやってくれた。助かった」と。

沿線グラス

そのとき、父のモットーだった「人を喜ばせる喜び」、父のあとを継ぐときに考えていた「人の幸せにつながるのが印刷」という自分の思いが、間違っていなかったということを実感したという。

その後、センジュ出版の吉満明子さんから、コロナ禍で強化したオンライン販売用のタンブラーへの印刷依頼があった。同時に、吉満さんから、オンラインで買ってくださったお客様への郵送時に安心堂のチラシも同封しますよという申し出があった。できることで支え合おうという姿勢に感銘を受けた。

こんなときでも足立区にはがんばっている人がいる。その人の役に立てたこと。支えあえたこと。それが、丸山さんを次の一歩へと駆り立てた。

みんな足立区、好きなんだ

沿線グラス

このところ話題の「沿線グラス」は、もともとは草加の「野菜とお酒のバル スバル」の依頼でつくったものだ。前年、千住紙ものフェスで出会ったデザイナー栗原由子さんをからの紹介だった。栗原さんのデザインで仕上がった、草加と北千住を結ぶ線路が描かれたグラスは「スバル」を中心に話題となり、「スバル」での販売が始まると、購入した人がFacebookグループ「足立区いいねっ!!」に投稿。それがグループ上で話題となり、「欲しい!」という人が続出。

「すごく盛り上がったんです。私自身、足立区で育ってきて地元が大好きでしたが、今でもヤンキーのまちと言われたり、悪く言われがち。でも、その様子を見て『みんな足立区、好きなんだ。地元愛、すごい!』と思いました」。

沿線グラス

こんな時期だからこそ、自己中にマスクやトイレットペーパーを買い占めるのではなく、助け合う気持ちがあれば、何とかこの苦難を乗り越えられるんじゃないか。愛する地域への気持ちがあれば、何とかなるのではと思い、「スバル」さんに相談して、あらためて、いくつかの路線の沿線グラスをオンライン販売するネットショップをオープンした。オープン後、ぞくぞくと注文が舞い込んでいる。千住地域を中心に計13店の居酒屋を経営する(株)一歩一歩代表取締役の大谷順一さんからは、9月1日にオープンするムスブ田町の「千寿一歩一歩」で使用したいと、200個の沿線グラスの発注をもらった。

沿線グラス

居酒屋店内風景

地域をつなぐ。日本をつなぐ

沿線グラスのFacebookページにはこんなメッセージが書かれている。

 

地元をつなぐコミュニケーショングッズ。愛すべき地元の人たちがつながって、楽しい時間をとも過ごすことができたらいいな。そんな願いをのせてものづくりに励んでいます。

 

牛田~竹ノ塚間を結ぶ路線を描いたグラスでは、普段、話題になりにくい、五反野、小菅、堀切、牛田などの駅を最寄とする人たちから反響が大きかった。小さな駅でも住んでいる人がいるし、それぞれにストーリーがあることに感動したし、地域がつながっていれば、何かあったときに声をかけ合い、助け合うことができるのではないか。今は、震災、台風、コロナと、思いもよらない災害に見舞われることも多いが、つながっていれば何とかなる。近年は、グローバル化が叫ばれ、地域が軽視されてきたけれど、わずらわしいことを排除するのは危険なことだと思う。

コロナが収束したら、このグラスを持って集まりたい。集まって飲食店を応援したい。

丸山さんは今では「沿線グラスで日本全国をつなぐ」という人生の目標ができたと言う。この沿線でグラスがつくりたいという思いのある人たちと一つひとつグラスをつくりはじめているが、これからも全国各地の沿線グラスを増やしていきたいのだと話してくれた。

空気以外なら何にでも印刷、を実現する立役者「パッド」を手にする丸山有子さん

 

沿線グラス 1800円(税別)。購入はオンラインのみ

https://tsunatsumu.thebase.in/

DATA:(株)安心堂 足立区江北3-21-6/     03-3896-3265
http://www.nandemokun.net/

 

 

 

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