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公開日:2025年5月8日 更新日:2025年5月8日
足立区にも「地酒」や「クラフトビール」があることをご存じですか ?
徐々に気温が上がり始め、つめたいお酒がより一層おいしく感じられるこの季節、ここでは、足立区自慢の「地酒」と「クラフトビール」を紹介します。
地域を盛り上げようと、それぞれの想いをもってお酒を醸造・販売する方々の「酒物語」をぜひ味わってください。
※20歳未満の方の飲酒は法律で禁止されています。
※タイトル写真:さかづきBrewingで提供されているクラフトビール「 Shy girl」(商品名)
※ここでの「地酒」とは、足立区内で造られたものに限らず、広く足立区に関連して造られたお酒を指します。
3代目店主 成田一司さん、娘 夏紀さん
令和8年で創業100周年を迎える老舗酒屋。日本全国の地酒のほか千住オリジナルのお酒も販売しています。
一司さん:
『成田酒店』は来年で100周年を迎えます。私で3代目、今は娘の夏紀と一緒に経営しています。
私はものづくりが好きで、最初は電気系の会社に入社しました。当時店主だった父の体調不良などで、お店を手伝う機会が多く、気がついたら3代目に。子どものころからお酒の配達を手伝っていたので、酒屋を継ぐということに抵抗はありませんでした。一方で、そのころからディスカウント店やコンビニが台頭し始めたことや、仕入れと配達の繰り返しという単調な作業にも面白さを感じられなくなっていたので、「店を畳む」ことも考えたことがありました。そのことを母に相談したら、「畳むのはいつでもできるのだから、まずは自分の好きなことをやってみたら」と言ってくれたんです。お酒自体は大好きだったので、だったら「日本全国のお酒を売る地酒屋」をやってみようと、自分自身が楽しめる酒屋という活路を見出し、日本名門酒会の門を叩きました。
一司さん:
地酒にくわしくなっていくうちに、ものづくりをしたいという欲求が高まり、自分でも地酒作りに挑戦したいと思うようになりました。そんなときに出会ったのが、当時区内でお酒の醸造をしていた太田酒造の現社長・太田精一郎さんです。彼とは全国小売酒販組合が催していたパーティーで出会ったのですが、通っていた小学校が隣町で、なおかつ同い年であることがわかり意気投合。その場で「千住発のお酒を作ろう」と決めました。さらに、酒販組合 千住支部の仲間たちにも声をかけ「酒千会」を結成しました。
一司さん:
世間で焼酎ブームが到来したときは、「酒千会でもオリジナルの焼酎を作ろう」という機運が高まり、足立区の名物を使った焼酎にしようと盛り上がりました。
そこで白羽の矢が立ったのが「千住ねぎ」。当時の千住ねぎは料亭や老舗の焼き鳥屋さんにしか卸していない希少なねぎでしたが、ねぎ商さんとねぎ農家さんの協力のもと、千住ねぎを使った焼酎「やっちゃ場」を開発しました。ただ、ひとくちに開発と言っても、農家でねぎを収穫し、太田酒造さんに持って行き醸造するなどの過程がありました。
「やっちゃ場」というタイトルは、千住にあった青果市場「やっちゃ場」から着想を得て私が名付けました。ラベルのイラストは千住在住のイラストレーターが手がけ、「オール千住」の産物です。「やっちゃ場」という題字は、当時の区長だった鈴木恒年氏に書いてもらいました。ここだけの話、最初に書いていただいた文字が美しすぎて、パンチが足りなかったので、リテイクをお願いし、力強い文字に書き直してもらったのは良い思い出です。ちなみに、清酒「あだちの橋シリーズ」の題字は近藤やよい現区長直筆です。
誰でも飲みやすい、スッキリとした口当たりの日本酒。
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本醸造 千住 720ml/1,800ml |
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特別純米 千住 720ml/1,800ml |
千住葱のほのかな香りと、まろやかな甘みが特徴の焼酎。
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やっちゃ場 20度 720ml/1,800ml |
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やっちゃ場 25度 720ml |
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やっちゃ場 30度 720ml |
千住にかかる3つの橋を題材にした「あだちの橋シリーズ」。ラベルの文字は足立区を代表する名物になるようにと、近藤やよい現区長直筆です。
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本醸造 千住汐入大橋 720ml |
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特別純米 千住大橋 720ml |
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純米吟醸 千住新橋 720ml |
ほんのり甘く優しい味わいで、桜のような淡いピンク色が特徴のクラフトビール。都立舎人公園に植えられている、ワシントンからの里帰り桜「レーガン桜」の花から酵母を仕込んで作りました。
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あだち桜物語 350ml |
一司さん:
酒千会では、約1,000人が集まる日本酒の試飲会や他県への酒蔵(※)巡りバスツアーなどを企画しました。現在は区主催のイベントなどでお酒を販売しており、今後は夏紀を中心に酒千会とは別の切り口で活動していきます。
夏紀さん:
祖母の「まずは好きなことをやってみる」を受け継いでいると思います。私はしばらく長野県松本市で生活をしており、当時働いていたカフェの営業終わりに、お酒のイベントなどを企画していました。千住に戻ってきた今も「みんなが集まれる場を作る」をテーマに、千住地域の個人商店を集めて何かできないかといろいろ企画しています。
※お酒を醸造、貯蔵する蔵
成田酒店(千住中居町25-12) |
【営業時間】 【定休日】 【ホームページ】 |
友好自治体交流の酒「あだち」
森田屋酒店(竹の塚6-10-12)店主 森田博さん
かねてより区の友好自治体であった旧小出町(新潟県)は、平成16年にほかの5つの町村と合併して「魚沼市」となりました。当時、区長だった鈴木恒年氏の「魚沼市の誕生を記念して、何かしたい!」という想いから、以前より鈴木前区長と交流のあった森田さんに声がかかりました。森田さんの尽力により、魚沼市にある醸造所に協力を仰ぎ完成した記念酒が、「清酒 あだち」です。
※写真は、本醸造 あだち 720ml/1,800ml 他にも、大吟醸、純米吟醸もあります。
代表取締役 阿尾 由季さん
全7種類の「ADACHI BEER」を醸造・販売。一部の酒取り扱い店でも購入できるほか、区のふるさと納税返礼品にもなっています。
仕事で海外に行く機会が多いのですが、バーやレストランでは基本的に地元産のクラフトビールが振る舞われます。誰が造ったのかわかるビールが提供されるということは、地域コミュニティが発達しているのが想像できます。これは、とてもいい文化だと感じ、「自分でも地元産のクラフトビールを造ってみたい」と思い、令和6年1月にビールの醸造を始めました。
代表取締役 阿尾 由季さん
ビール作りを学んでいく中で、ホップが最も原材料費が高いことを知りました。だったら、「自分で栽培してみよう」と、山梨県のホップ農家さんにアドバイスを貰い、現在9種類の自家製ホップを栽培しています。
また、青のラベルで販売している「アメリカンスタイル ライトラガー」には、足立区唯一の稲作農家である『ファーム136』の小宮英之さんが作られた「もち米」を使用しています。最初はいきなりのオファーで怪しまれましたが、お互いの意見を交わし合い、麦芽の配合の相談に加え、「精米を使ってはどうか?」「玄米はどうか?」など試行錯誤をしてコラボレーションしています。
足立区で開業した理由は、子どもたちがあまり「足立区出身」と言いたがらなかったからです。それを知ったとき、彼らにはやっぱり「生まれた故郷を誇りにして生きて欲しい」と思いました。それなら私が次の世代に残すものを作ろうと、足立区でクラフトビールの醸造・販売を始めました。
将来、「ADACHI BEER」を誰もが知る有名な存在にすることを目標にビール作りに日々励んでいます。
今は販売だけですが、近い内に区内にビアスタンドを作って、「ADACHI BEER」をお店でも飲めるようにしたいと考えています。いろいろなことに挑戦すれば可能性も広がり、ゆくゆくは海外でも販売したいと思っています。
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ピルスナー「ジャーマンピルスナー」 優しい爽やかなホップの香りが特徴 |
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ペールエール「アメリカンスタイル ペールエール」 パッションフルーツやパイン、柑橘類のようなホップの豊かな香りが特徴 |
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アイピーエー「アメリカンスタイル インディアンペールエール」 ホップを贅沢に使った、強めの苦みと柑橘系の華やかな香りが特徴 |
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ヘイジ―アイピーエー「ヘイジー インディアンペールエール」 ホップを贅沢に使った華やかでフルーティーな香りで、ビター感もあり、しっかりとした味わいが特徴 |
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ヴァイツェン「南インドスタイル ヘーフェヴァイツェン」 バニラやバナナのような甘い香りとフルーティーな味わいが特徴 |
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ポーター「ロバストポーター」 ロースト麦芽を使用した、香ばしい香りとクリーミーな泡が特徴 |
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ラガー「アメリカンスタイル ライトラガー」 区内唯一の稲作農家「ファーム136」のもち米を使用。軽やかでキレのある飲み口、お米をまろやかさが特徴 |
「ADACHI BEER」オンラインストア
https://store.adachibrewery.com/
以下の店舗でも購入できます
そのほか、区内の居酒屋などでも購入できます。
あだちブルワリー(西新井本町3-10-21) |
【営業時間】 【定休日】 |
クラフトビールは大きく分けて2種類!
ビールは麦芽と水、ホップを使用し、発酵、熟成させることで完成します。
オーナー兼醸造責任者 金山 尚子さん
常時約15種類前後のクラフトビールを提供している、醸造所併設のレストラン。姉妹店の「さかづきLab」も営業中です。
平成28年にそれまで勤めていたビール会社を辞めて、クラフトビールを提供するレストランを作ろうと思い立ちました。店舗探しが難航していたとき、よく乗り換えで利用している北千住駅を降りたときに「この街めちゃくちゃ人いるし、ここじゃない?」と気づいたんです。あまりにも身近過ぎて候補に入れていなかったんですよね。考えてみると千住ってとにかく「元気な街」なんです。若い人も多いし、年配の人も賑やか。そして何より、住んでいる方が地元で飲食する習慣があるんです。「酒呑み文化」が昔から続いているのが良いんですよね。
オーナー兼醸造責任者 金山 尚子さん
頭の中は常に新しく造るビールのことでいっぱいです。季節感を意識したり、レストランで出す旬の素材との兼ね合いを考えたり。お客さんからは「結構、大人しい味だね」とよく言われます。ビールだけでなく、食事と合わせて飲むことで、また違った味わいを感じていただけると思います。炭火焼料理もオススメなので、ホップの香りが効いたビールと合わせると、より楽しめると思います。
今後の目標としては、区内の飲食店さんと一緒にビールを開発し、色々なところでクラフトビールを飲めるようにすることです。そして、商店街と住宅地が近い千住だからこそ、地元の方が毎日通いたくなるようなお店をめざしています。
北千住駅東口に姉妹店として、「さかづきLab」も営業しています。
こちらも醸造所併設のレストランです。現在は、ビールの醸造はおこなっていませんが、今年の秋ごろ醸造再開をめざして準備を進めています。名前の「Lab」にちなみ、実験的なビールを醸造していく予定です。
さかづきLab(千住旭町11-10)
【営業時間】
水曜日・木曜日・金曜日:午後5時~10時30分
土曜日・日曜日・祝日:午後1時~10時30分
さかづきBrewing(千住1-20-11) |
【営業時間】 【定休日】 |
知ってます?ビールと料理のベストコンビ
さかづきBrewingで楽しめる、金山さんのイチオシ料理はコチラ!
サーモンのカルパッチョ
トマトの土佐酢漬け 季節の青果添え
牛ハラミの炭火焼
フィッシュ&チップス
グラスの形にも意味がある
細長いグラスは、飲み口が広く、勢いよく飲むことができます。そのため、のど越しがよいビールに使われます。
膨らみのあるグラスは、飲み口が狭いため香りがグラス内にこもります。そのため、芳醇な香りを楽しむビールに使われます。
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