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公開日:2024年5月22日 更新日:2024年5月24日

拠点にワケあり

古民家「野菜日和」主宰 老沼裕也さん

老沼さん切り抜き

私が足立区を拠点にするのにはワケがあります

足立区の五反野駅そばの小さな古民家に、夫婦で移り住み、古民家「野菜日和」と名づけて月1度の住み開きをしてきました。かつて1年をかけて会いに行った全国の農家から、オーガニック(有機栽培)中心の野菜を集め、販売しています。販売だけでなく農村交流を中心としたコミュニティの場で、東京と地方がつながる場所を目指しています。会社としてはこのほかに、余剰農産物などをあだちの銭湯の香り湯に使ってもらうプロジェクトや企業や自治体の農業関連のプロジェクトに参画して、伴走支援なども行っています。

古民家「野菜日和」

足立区は人生の転機がつまった場所

人と会うのが好きで、高校を出てから海外を放浪していたのですが、オーストラリアにいた2011年、現地でパニック障害を起こしました。息ができなくなり、それから何度も発作が起きました。今から思うと、人に気をつかいすぎて自分を犠牲にしていた。心の負担が積み重なっていたのだと思います。
緊急で帰国後、1年くらい引きこもりました。本当に苦しく真っ暗なトンネルの中をさまよっているようでした。家族や地元の親友のサポートで、少しずつ外へ出るリハビリを行いました。ただ人との対話や人混みにいること、電車に乗ることが難しい日が続きました。そこで、早朝の人が少ない時間帯に車で行ける、千住にある足立市場の会社に拾っていただきました。まだ人と話すと汗がびっしょりになる状態でしたが、市場内にある食材卸会社の社長が事情をわかったうえで雇用してくれ、この会社が僕を社会に戻してくれました。社長の、自社の利益だけじゃなく、地域に還元するというマインドには強く共感し、勉強させてもらったことは多いです。

野菜の写真

真っ暗なトンネルの中から出てきた僕にとって、青果市場にある野菜や果物の色と香りは五感を刺激し、その鮮やかさ、美しさに魅了されました。青果仕入れの責任者として最後は務めていましたが、流通から見える生産課題を感じ、農産物を一生扱う仕事にしたいと思っていた僕は、それなら川上にある生産の現場を知らなくてはいけないと考え、社長に話して退職。1年をかけて車で全国の農家を周り、そこから感じたことが、今の仕事の原点となっています。

実は妻ともこの会社で知り合いました。ですので、自分が何か始めるなら、たくさんの人生の転機をくれた足立区でと思ってきました。今は娘も生まれて子育ても仕事も、すべて足立区をベースに行っています。

足立区の人はおおらかで温かい

仕事は、足立区を拠点に全国各地を巡っていて、地方にも良いところがたくさんありますが、足立区も地方のような人の温もりや自然を感じられる場所で、出張から戻るとホッとします。

暮らしに関しては、公園や荒川、気さくな店主がいるお店がたくさんあるので本当に充実しています。地元の店に買い物に行くのですが、美味しいパンやコーヒーを買いながら店主とお話しします。また、夫婦ともに体を動かすのが好きなのでよく荒川河川敷へウォーキングに。最近は娘が生まれたので、近くの公園へ遊びに行きます。とにかく公園が多いのがいいですね。また友人や仕事関係者を足立区に招いて、食事に行くときも大好きな個人の飲食店へ連れていくのですが、その美味しさ、手頃さ、店主の気さくな対応にみんな大喜びしてくれます。そして身体と心が疲れたら、銭湯へ。近くに銭湯があることで幸福度がぐっと高まります。

野菜日和の写真

100回記念

古民家「野菜日和」100回記念の日には多くの人が来てくれた(写真:老沼さん提供)

東京とはいえ、足立区の人はおおらかで温かい。娘が生まれると、古民家「野菜日和」に買い物に来てくれていた人がお祝いや差し入れを持って娘の顔を見に来てくれたり、赤ん坊を抱いて歩いていると、おばあちゃんに声をかけられたり。また、熱中症で倒れている人を助けたとき、まわりにいた人は若い人も年配の人も、一緒になって助けてくれた。

僕にとって、人生を照らしてくれる人たちと出会った最初の場所が足立区。日々の暮らしを豊かにしてくれるのも足立区です。

老沼さん夫婦

老沼さん家族

 

プロフィール:おいぬまゆうや

川口市出身。合同会社ひとつやねのした代表。農村交流、地域交流を目的とした企画事業や企業、自治体へ伴走支援を行なっている。足立区の五反野で、古民家「野菜日和」として夫婦で月1度の住み開きを行い、全国の農家の野菜販売をしながらコミュニティ運営を行っている。※古民家「野菜日和」のみ育児休暇中。2024年12月に再開予定。0歳児子育て中。

撮影:加藤有紀

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