足立区政ニユース
第25号
(四)

出張所めぐり
第三出張所
火鉢にかけた薬缶が、ちんちんと湯気を立てて、窓口の人声や、街の騒音を、和やかにかき消している所長の机の前から、窓の外で縄飛びに興じている子供達を眺め柄にもないセンチに浸つていると、「やあどうも待たせて了まつて」、と言い乍ら、現実の声を浴せて白皙の小川所長が部屋に入つてきた。所長が十九出張所から赴任してきてからの久濶を述べてから、「区政ニユースの出張所巡り欄のことで、一寸お伺いしましたが」、と挨拶する。「出張所運営の方針は」、の問いに、「いやあ、別に、……公正とか、迅速とか、所謂モツトーであると言われるものは、第一出張所から、第十九出張所までを通じて、これは大同小異だと思うんですがね、我々は唯、責任をもつて事務を処理して行くだけですよ」。と答える。
「出張所の所轄区民に対する影響についてなにか?」。
「さうですね、私の所には、町会時代から勤続の馬淵さん(庶務馬淵辰夫氏)が温厚そのものに、区民と接してきているので、又、区民の方々も、永い間の顔見知りなので、とても親しみ易い感じを、出張所に持つているらしいので、その点私としても大助りです」。
「その外表面にでていないものでなにかありますか?」
「掲示板が九十箇所ありますが、佐々木さんが掲示板を貼りに行くと、近所のお内儀さんが集まつてきて、配給物だと、なにやかにや、尋ねるらしいのですけれど、その他の通知文などでは、すうつと読まないで行つてしまうらしいんですよ、この点なども、区政運営に考慮すべき問題ではないかと思います」。お茶を一息に呑んで所長は、更に続ける。
「今度滞納整理事務の応援として、出張所職員が督促に出掛ける様になりましたが、今後の出張所の在り方としては、区民の便利を考えて戸籍や、税務事務の一部を出張所で取扱うような機構に変えて行くべきではないかと思つてるんです。実際経済の統制が撤廃されれば、附随的に、転出入の証明事務量も減少するんぢやないかと思われるからね、そうすれば、今の儘の出張所の仕事の大半はなくなつてしまいますよ」。而しこのことは飽くまで、私個人の意見であるとつけ加える小川所長に謝辞をのべて、出張所の玄関横から自転車を引つぱりだした時、入口にかかつている投書箱に、意見か、批判か、謝辞かは知らず、紙片を投入した娘さんが恥ずかしそうに逃げて行くのが微笑ましかつた。
右より
　金子嘉重
　鈴木利枝
　小川資伯
　佐藤喜代子
　馬淵辰夫
　細井勝
　若林德子

　時局講演会開催
二月四日午後一時から区役所議事堂で婦人を対象とした東京新聞社論説委員長直海善三氏の「国連管理下における日本の現状とその将来」について三時間に亘る講演があり会場はほとんど婦人会員で占められた。
終つて映画界の中西技師の目で見る視覚教育について説明があり次いで婦人の方のために劇映画「不良少女」外「会議のもち方」を上映した、今後は此の種の講演会を度々開催し社会の人々の精神文化の向上に資する計画を立てている。

　白石公一氏当選
　本紙前号で紹介しておいた検察審査員の選定が、一月三十一日に検察審査会事務局で行われ、足立区から選定された第一検察の第一群候補者五名と第二検察の第一群候補者四名の中から、ただ一人千住寿町三一白石公一氏(二十一オ)が栄えある当選者と決定、本年七月までの六か月間を検察審査員として活躍する。