1991年(平成3年)2月20日
あだち広報
あだち広報
第896号
(1)

企画・発行足立区女性総合センター〒123足立区梅田7-33-1
　(3880)5222編集/企画部広報課

足立区女性会議答申
=特集=
RECYCLEPAPER
―森林資源を大切に―

男女共生社会をめざして

足立区女性会議答申
特集
　足立区では、新たな社会状況の変化に対応した[第2次足立区女性行動計画」を策定するにあたり、足立区女性会議を設置し、基本的な考え方と施策の方向について諮問してきました。女性会議は、区長に対し「第2次足立区女性行動計画の策定にあたっての提言」を答申しました。この答申は、学識経験者や女性団体代表者、公募者により構成された委員が、1年4ヵ月にわたって検討を続け提出したものですご」の内容は、社会参加、教育、労働、家庭、福祉、健康の6つの分野にわたっており、今回の特集号では基本的な考え方と各分野の提言を原文のまま皆さんにお知らせします。

基本的な
考え方
　21世紀は10年後に迫り、社会の高度情報化、高齢化、国際化は、加速的に進展している。社会の急激な変化は、いやおうなしに私たちの意識改革、価値観の変換を迫っている。1975年　(昭和50年)の国際婦人年以来、女性をとりまく状況も大きく変化し、女性の活動分野の広がりは目覚ましいものがある。しかし、それにもかかわらず、性による差別は私たちの意識の奥深く温存され、真の男女平等は実現されていない。21世紀に向けて、女性も男性もともに「仕事と家庭」の両立を図れる「男女共生社会」の実現をめざすために、解決すべき課題は多い。

「女子差別撤廃条約」を基本に
　―、足立区女性会議は、新たな段階を迎えた女性問題の解決に当たって、この答申の基礎を日本国憲法の精神においている。日本国憲法の精神とは、基本的人権の尊重と。男女平等、平和主義の理念である。この基本理念は、「世界人権宣言」、
　「国際人権規約」にも共通し、「国連婦人の10年」が掲げた「平等・開発・平和」の目標にも合致するものである。さらに、女性にとっての国際的人権保障の憲法ともいうべき「女子差別撤廃条約」の精神を基本に据えたものである。
　　「女子差別撤廃条約」(正式には「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に闃する条約」)は1975年(昭和50年)メキシコで開催された国際婦人年会議で提起、1979年(昭和54年)国連総会で採択され1980年(昭和55年)コペン(Iゲンでの「国連婦人の10年」中間年世界会議で日本も署名したものである。
　この条約は「女性に対する差別は権利の平等と人間の尊厳、尊重の原則に違反するものであり、社会及び家族の繁栄の増進を阻害するものであるごと宣言している。この時、女性に対する差別は自然に解決するものではなく特別な努力を払う必要があるとして、各国の法整備、具体的運用まで含めて検討課題としたことが問題解決に大きな役割を果たしたといえる。
　1985年(昭和60年)、ナイロビで開かれた「国連婦人の10年」最終年世界会議は「2000年に向けての婦人の地位向上のための将来戦略」を採択し、「世界行動計固」の趣旨を西暦2000年まで延長して、課題解決を図ることが合意された。
　足立区においても、1982年(昭和57年)、足立区婦人問題会議が「足立区婦人行動計画策定にあたっての基本的な考え方と施策の方向について」答申を提出した。それを受けて、足立区は、行動計画を策定し、女性施策に反映させ婦人総合センターの設立などをはじめ、目覚ましい成果をあげた。このような成果をふまえてさらに真の男女平等を根づかせるために、行政が積極的に施策を実行し、新たな条件整備と制度改革を行う必要がある。
　2、これまで性差別の問題は「哺人問題」といわれてきた。しかし砺大」に対する男性名詞の対語はない。対語を持たず、意味のあいまいとなった「婦人」ではなく、「女性」という言葉が適切であり、したがってべ婦人問題」は「女性問題」と表現されるのがふさわしい。しかし、さらに深く考えるならば、「女性問題」は女性だけの問題ではなく、「男性問題」でもある。

区では女性施策実行に成果
　　-女性問題」は「女性と男性の問題」であり、「社会問題」でもあることを確認しておきたい。それは社会のあらゆる分野に女性の視点が生かされることの必要性をも含むものである。
　多くの男性は女性問題は対岸の火と考え、自分には無縁のものとしてきた。一般的に男性は差別の痛みを感じない立場にいたともいえる。しかし今多くの女性たちは「女だから」と生き方を規制されることに疑問を感じている。しかも、性差別の根源が生物学的な男女差にあるのではなく、性による固定的な役割分業にあること、その固定観念の打破こそ、性差別撤廃の鍵があることが明らかとなっている。特に男性の意識改革の必要性を訴えるのもそのためである。
　しかし、ここで女性たちは、これまでの「男は仕亊う　「女は家庭」という性別役割の単純な変換を求めているのでない。男性も女性も共に社会の各分野の責任を担う、いわば相互乗り入れの提案であり、そういう社会が「男女共生社会」と表現されるものなのである。
　　　　(第2面へつづく)

区民の皆さんへ
足立区女性会議委員
　私たち女性会議委員は今、一つの決意に燃えています。足立区女性会議は区長の諮問を受けて以采、1年4ヵ月にわたって、様々な角度から女性問題をとらえ検討してきました。委員一人ひとりが、女性である自分自身の生き方に問いながら、どのようにしたら男女が共にいきいきと生活できる社会になるのか、そのために私たちは阿をすべきか、真剣に考え話し合ってきました。
　また、広聴会等を通じて多くの方々からご意見を伺うとともに、地域の現状を把握するために、各地におもむき調査もしてきました。その結果をふまえて本答申は立場や意見の異なる委員が力を合わせて得た共通の結論です。今ここに本答申を提出するにあたり私たちは区民の皆様に呼びかけたいと思います。より良い21世紀をめざして本答申の実現を図り、さらに前進するために、区民自ら行動しようではありませんか。
　1789年、フランス人権宣言は又間は自由なものとして生まれ、権利において平等である」と駆いました。しかし、その後も相変わらず男女は性別によって役割を分け、男女間にさまざまな不平等を生んできました。社会の中には女性はこう生きるべき、男性はこうあるべきという女性像・男性像が描かれて定着しています。私たちは無意識にそれを受け入れ、あたかも自分が選んだ生き方のように思い込んできました。
　男女の性別役割分業による固定的な生き方は、人間の自由を阻害し、女性は経済的・社会的自立を奪われ、男性は企業人間になり、家庭や地域での生活的自立を奪われています。それは同時に差別を温存させることになり、社会に歪みをもたらしてもいます。女性会議はこのような社会の仕組みを改革し、男女が共同して平等に生きることのできる男女共生社会の創造に視点を据えて本答申を作成しました。
　私たちのめざすものは、女性の地位を現在の男性に近づけようとするのではありません。私たちがめざすのは、女性も男性も、共に生き難さを気づきはじめている社会そのものを変えていくことなのです。すべての人の人権を尊び、人間的な潤いや、やさしさを享受できる社会へと変えていこうとしているのです。政治はそれを保障するものでなければなりません。しかし、まずなによりも必要なのは、社会の主権者である私たちが意識を変え、行動を起こすことではないでしょうか。私たちは家庭・地域社会・職場・学校などの場において男女の固定的な生き方を解消し、社会に存在する矛盾を正していくために、自らの自発性に基づく活動をしていくことが大切でしょう。
　21世紀は国際化・高齢化・情報化が今よりさらに急速に進むことでしょう。複雑になる一方での社会では女性問題は単に女性のみの問題ではなく、男性を含んだ人間全ての問題にほかなりません。地球に生きる全ての人間の開放に向かう人類的課題でもあるのです。
　足立区は本答申を受け、「第2次足立区女性行動計画(仮称)」の策定に入ることでしょう。女性会議は行動計画の推移を見守り、実効性のあるものとして進展させるために「21世紀の男女共生社会をめざす会(仮称)」を結成したいと考えています。西暦2000年に向けて、行動していく区民団体として、会員は学習し、切磋琢磨して、行政の行動計画を確認するだけではなく肩采的には、民間女性行動計画も夢ではないという意気込みを持ちながら活動していきましょう。
　この趣意を区民の皆さんにご理解いただき、区民女性はむろん、ことに男性や足立区に勳く女性の、年齢を問わない幅広い参加を期待するものです。