あだち広報テキスト版2022年(令和4年)6月10日第1881号6・7面


10年後の“わたし”への手紙
あなたも、10年後の自分に手紙を書いてみませんか?

あなたが自分に宛てた手紙は、区で大切にお預かりし、区制100周年となる10年後にお返しします。自分宛てではなく、大切な方へのメッセージでも大丈夫です。今号では、区内在住の7人に実際に手紙を書いていただき、その内容や思いについてお話を伺いました。

〈対象〉区内在住の方
〈申込期限〉5年1月31日(火曜)消印有効
〈申込先〉政策経営課 政策経営担当  郵便番号120-8510 中央本町1丁目17番1号
〈問い合わせ先〉お問い合わせコールあだち(毎日、午前8時から午後8時)電話番号03-3880-0039

〈用意するもの〉
●便箋
●封筒A(切手不要)…自分の氏名と10年後に届く住所を記入
●封筒B(所定の切手が必要)…封筒Aが入る大きさ・〈申込先〉の住所を記入
1.【2022年】10年後の自分に宛てて手紙を書く
2.封筒Aに手紙を入れ、封をする(切手不要)
3.封筒Aを封筒Bに入れ、封をする(切手必要)(この中に手紙が入っている(封筒A))
4.3の封筒をポストに投函(とうかん)する
5.【2032年】10年後、自分のもとに届く

〈注意事項〉
●10年後に区から送り返す封筒Aは、定形郵便(25グラム以内)に限る
●保管期間中の返却や、返送先の住所変更などの個別対応は不可
●封筒Aがないものや、小包・冊子など、手紙以外のものは不可

Letter01
放駒部屋
区制90周年の今年4月9日、六町に区内3つ目の相撲部屋が誕生。部屋を率いる親方と、今年新たに入門した力士に、部屋の未来や自身の目標を語ってもらった。

○放駒親方(はなれごまおやかた)  (元関脇(せきわけ)・玉乃島(たまのしま))
◆「人としての強さ」を身につけた力士を育てる
10年後といっても、僕はあと20年で定年。長いようで短いですよね。それまでにこの六町にしっかりと馴染み、部屋としての足固めをしたいです。入門してくれる力士ももっと増やして、活気のある稽古ができる部屋にしたいと思っています。
弟子たちには、相撲の強さだけでなく、人としての強さも身につけていってほしい。相撲界は一般社会とは違う部分がありますから、社会でも通用するような人間を育てていきたいですね。
◆地域の皆様と喜びを分かち合いたい
部屋を開いてから数カ月が経ち、ここ六町が大好きになりました。地域の皆様に温かく迎え入れていただき、本当にありがたいです。今はコロナ禍で難しい部分もありますが、まちのイベントなどにもぜひ呼んでいただきたいと思っています。皆様とのつながりから、応援してくださる方が増えたり、「相撲をやりたい」という子どもが出てきてくれたりしたら、うれしいですね。
もちろん横綱や大関といった高い番付の力士をこの部屋から輩出したい気持ちもありますが、それよりも、優勝力士を輩出したい。その優勝パレードをここ六町でやって、地域の皆様に喜んでもらえたら最高ですね。
(写真説明)
「コロナ禍が落ち着いたらぜひ稽古を見に来てほしい」と話す親方

○力士 松蘭(しょうらん)さん
◆ひたむきに、前向きに
手紙には、「どんな将来が待っていても、下を向かずに前を向いて、つらいことがあっても元気でいてほしい」という思いを込めてメッセージを書きました。力士として、まずは十両(大相撲の番付上の階級のうち、幕内に次ぐ上から二番目の階級。この階級から一人前の力士として認められる)になるのが目標です。簡単なことではありませんが、やはり関取(十両以上の力士のこと)まで昇進するというのは一つのあこがれでもあるので。十両にたどり着くことができたら、さらに上をめざしていきたいです。そのためにも、まずは稽古。教わったことは意識的に実践して、少しずつでも前に進んでいきたいと思います。
◆新たな道への挑戦
高校までずっと柔道を続けてきました。相撲は今年から始めたんです。高校卒業前にはいくつかの大学から柔道で進学する推薦の話をいただきましたが、小さいころから「相撲をやりたい」という思いがあったので、高校卒業を機に思い切って放駒部屋に入門しました。放駒部屋に入った理由は、なんと言っても親方の人柄です。兄弟子たちも、ときに厳しく、ときに優しく丁寧に相撲や部屋の仕事のことを教えてくれます。この部屋で、人としても、力士としても成長していきたいです。
(写真説明)
一心不乱に稽古する松蘭さん
(写真説明)
放駒親方と力士たち


Letter02
関原小学校
足立区と同じ昭和7年に誕生した関原小学校。その関原小学校に通う児童の中で、「10歳」という節目の歳を迎える 4年生の2人に話を聞いた。

○杉村 花恋(すぎむらかれん)さん
◆困っている人へ手を差し伸べられる大人に
看護師だったおばあちゃんから、人の命を助ける仕事の話を聞いたことがあるんです。そのときから、私の夢はたくさんの人を助けられるような看護師になること。だから手紙には、「夢に向かって頑張っていますか?」ということを書きました。夢を叶(かな)えるために、まずは勉強が大事だと思うので、苦手な教科もありますが、将来のためだと思って頑張りたいです。いつか自分でお金を稼ぐことができるようになったら、家族と一緒に買い物に行きたいですね。10年後の自分が、今からとても楽しみです!
(写真説明)
「夢は決まっていたので、手紙を書くのに時間はかからなかった」と杉村さん

○小野 叶翔(おのかなと)さん
◆叶(かな)えたい夢と、両親と一緒にやりたいこと
手紙は4年生みんなで書いたんです。クラスのみんなと将来のことを話し合いながら、楽しく書くことができました。僕が手紙に書いたのは、「消防士になれていますか?」ということ。おじいちゃんが消防士だったこともあり、火事の現場で活躍する話をたくさん聞かせてくれて、かっこいいと思ったんです。この夢を叶えるためにも、つらいことがあっても諦めないで頑張りたいです。二十歳になったら、育ててくれたお父さん、お母さんとお酒を飲みに行きたいとも思っているんです。大人になるまで育ててくれた両親に、感謝を伝えたいです。
(写真説明)
「困っている人を助けるために、自分から一歩を踏み出せる大人になりたい」と語ってくれた小野さん

Letter03
〇建築家 青木 公隆(あおききみたか)さん
「空き家が増えてきたこの時代に対して、建築家はどう応えていくべきか考えている」と語る青木さん。10年後の自身の活動や思いについて、話を聞いた。
◆空き家の可能性を活(い)かし、人が集まるまちに
手紙では、「まちに新しい人を呼び込めていますか?」ということを問いかけました。正直、10年後の町並みは今とあまり変わってないと思うんです。でも、人口はどんどん減って空き家は増えていく。そこで大事にしたいのは、町並みは変わらなくとも、新しい人が入ってくるきっかけを作ること。その手段の一つが、空き家の利活用なのかなと思っています。
「せんつく (木さんが空き家となっていた民家を活用してオープンした、複数の店舗が入居している複合コミュニティースペース(所在地…千住寿町14の7))」をつくったとき、飲食店を運営する方をはじめ、個人で活動している色々な方が入ってきてくれました。新築や駅前の建物とは違い、空き家をリノベーションした建物ならではの魅力もありますし、家賃を抑えられるという利点もあるので。そのときに「個人が活躍できる場所が、空き家から生まれてくる」ということを感じたんです。人を呼び込むことができる空き家の利活用が、10年後、もっと増えてくれると良いなと思っています。
◆千住のまちをアップデートする
空き家の数がこれから増加していくのは間違いない。ただ、放っておいて倒壊する危険がある空き家になることは問題だし、地域を再開発してきれいな住宅街にするやり方もあるけど、全部がそれだと面白くない。だから、少しでも空き家の利活用を進めて、そこを拠点に周囲のまちづくりを広げていきたいですね。
将来は「せんつく」を10個つくるのが目標なんです。今までの話と矛盾するようですが、そのうちのいくつかは新築で建てたいと思っています。空き家の利活用であれ新築であれ、まちが適切に更新されていくことが一番大事だと思っているので。人がたくさん集まる場所とか、身近にあって暮らしを支える個人のお店とか、そういうものが「せんつく」から生まれたら良いなと思っています。
(写真説明)
青木さんがデザインにこだわった「せんつく」入口の看板
(写真説明)
せんつく」の前に立つ青木さん
(写真説明)
1階に入居している飲食店の内装

Letter04
第1号パートナーシップ宣誓者
足立区パートナーシップ・ファミリーシップ制度(3年4月に開始。戸籍上の性別にとらわれず、お互いを人生のパートナーとして生活を共にすると約束した方が宣誓をし、区が受領証明書・受領証明カードを交付する制度)の導入初日にパートナーシップを宣誓。昨年子どもが生まれ、新たな生活をスタートさせた2人が描く未来とは。
○長村(ながむら)さん
◆一番に考えるのは子どものこと
手紙には、「今、私はこんなことに悩んでるんじゃないかな?」と問いかける内容を書きました。この手紙を受け取るとき、きっと子どもは思春期で、親に言いづらいことを抱えていると思うんです。そんな子どもに対してどう接したらいいか悩んでいる自分の姿が想像できますね。
これからどんどん大きくなっていく子どもと、色々なところに出かけたり、一緒に料理をしたり、たくさんの経験をしたいですね。そして、何でも言い合える、私たちにしかできない家族を作っていきたいと思っています。
◆後ろめたさを持たず、堂々としていられる社会に
10年後は子どもも色々理解できるようになって、自分の家がほかの家と違うことに疑問を持つこともあると思うんです。そのときに、「ママ2人で育てている家庭なんて普通にあるよね」と言えるような10年後になっていてほしいですね。
ここ数年で、少しずつ同性愛者であることを言い出しやすい雰囲気になってきたし、子どもを持つ同性カップルも増えました。この調子で、社会が少しずつでも良い方向に変わっていってくれると良いなと思います。少しでも多くの人が幸せに生きていくためにも、自分たちにできる活動は続けていきたいと思っていますし、一緒に声を上げる人が増えてくれたらうれしいですね。

(写真説明)
セクシュアルマイノリティーの人を中心とした居場所づくりのため、複数の飲食店を経営

○茂田(もだ)さん
◆やりたいことを、我慢しない世の中に
今はコロナ禍の真っただ中で、人に会うことが難しかったり、海外に行くにも制限があったり、我慢することがここ2・3年でかなり増えたと思います。10年後はそういったことがなくなって、普通に過ごせるようになっていてほしいということを書きました。また、同性婚についても、法律が成立していて、同性カップルが法的に認められるようになっていたらうれしいですね。
私たちの子どもに関して言えば、10年後は小学生。きっと好きな子がいたり、何かに夢中になっていたりする時期なんじゃないかなと思います。そういう姿を一番近くで応援していたいですね。
◆より良い明日のため、今できることを
セクシュアルマイノリティーの人たちにとって社会が良くなっていくために、これからもできることはやっていきたいですね。当事者が声を上げることはとても大事なんです。声を上げないと、いないものとされてしまうから。まずは社会の中にいることを知ってもらって、次に困っていることを知ってもらう。そして、困っているんだったら解決しよう、という流れを作っていきたいと思っています。
私たちがこうして動くことで、きっと同じような悩みを持つほかの人たちの住みやすさにもつながる、と思って活動しています。

(写真説明)
2人が中心となり、LGBTQ(Lesbian(レズビアン)(女性同性愛者)・Gay(ゲイ)(男性同性愛者)・Bisexual (バイセクシュアル)(両性愛者)・Transgender(トランスジェンダー) (生まれたときに割り当てられた性別と、自分が認識している本来の性別が一致していない人)・Questioning(クエスチョニング) (自分自身のセクシュアリティを決められない・決めない・分からない人)の頭文字)に関連した映画の上映会を開催

(写真説明)
退院後すぐにファミリーシップ宣誓もした茂田さんと長村さん