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更新日:2013年7月2日

【匠の伝承】続けていけば必ずいいことがある・江戸表具

江戸表具野滋嗣

書や絵画などを引き立たせる影の芸術、江戸表具の魅力を表具師の小野滋嗣さんに伺いました。

高級、一点もの、もう驚かない

スペインで開催されたセビリア万博(1992年)の際にね、日本館に安土城天守閣を表現するってことで、私に仕事の依頼がありました。特に近年の表具師は単に壁紙を貼ったりする日常的な仕事にしか恵まれない人がほとんど。日本画家の平山郁夫氏が描いた障壁画を何枚も扱うなんて豪華な仕事はそうないですから。この障壁画、1枚いくらだなんて考えていたら気が遠くなりますよ。さらに日本政府の関係者に「400年朽ちないものにしてくれ」って言われましてね。生きて確かめられるもんでもないし、風土の違うセビリアで日本の襖や屏風がどれくらいもつかって確証なんてないでしょ。すべてが未知数でしたが、お受けしてよかったですね。終わったときはさすがに気が抜けましたが、海外の方たちが日本の文化に非常に関心を示してくれて嬉しかったです。

表具の仕事はお客さんの大切な書や絵画を預かって掛け軸や襖絵などに加工することだから、失敗があってはいけない。常に緊張の連続ですが、最高級和紙と新聞紙を同じ感覚で扱えなければ、一人前の表具師とはいえないでしょう。それに仕事で贅の極みを見てきましたから、大抵のことではもう驚かないですね。

重ねた金粉の強弱で細かな模様を描く。「ただ振ればいいってもんじゃないよ」と小野さん

重ねた金粉の強弱で細かな模様を描く。
「ただ振ればいいってもんじゃないよ」と小野さん

まるで本物の着物がかけられたように見える小袖屏風。作れる職人も少なくなった

まるで本物の着物がかけられたように見える小袖屏風。
作れる職人も少なくなった

続けてきたことで得たもの

もともとうちは吉原で仕事をしていて、大正時代に千住柳町に遊郭ができるっていうんで父の代で千住に移ってきました。次々に舞い込む仕事をこなしながら、私は無我夢中で仕事を覚えました。父にはこの仕事に必要な粋というものを教えてもらったと思っています。父から引きついだものを後世に伝えたい。幸いにも娘の彰子が継いでくれることになったので、じっくりと技を教えてやりたいと思っています。今彰子が制作に励んでいる小袖屏風も父から教わった大切な技です。いかに着物の柔らかさを表現するか、厚みのある屏風を隙間なくぴったりと畳めるか、ここが難しいところです。

始めたことが長続きしない若い人が増えたと聞きますが、そんな人たちに私は言ってあげたい。確かに辛い道のりですが頑張って続けていれば必ずいいことがあります。物をつくればつくるほど新しい発見があり、しっかり仕事をすれば、仕事への評価が次の仕事を運んできてくれるものです。そして仕事を通して得られるのは豊かな交友関係です。発見や感動、人との出会い……これが表具師の醍醐味でしょう。
(文:吉川麻子影:蓑輪政之)

江戸表具とは

表具は仏教伝来と共に、経文の書き写しや経巻の製作などによって生まれたと考えられています。以後、床の間の発生や茶道の興隆により需要が増え、江戸時代に入ると華やかな上流社会の必需品として競って装飾性を高められていきました。

小野滋嗣さん

小野滋嗣さん(1939から2012年)

東京都生まれ。小野表具店の5代目。千住柳町の遊郭での仕事から、今はなきホテルニュージャパン、セビリア万博、宮内庁建造物などの表具を多数こなす。現在は、文中に登場している長女・彰子さんが継いでいる。

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