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公開日:2019年6月5日 更新日:2019年6月5日

地元の名士をご紹介

20190605

日本最初の和独辞書、『和独対訳字林』(日比谷二朗氏蔵郷土博物館保管)

 日本で一番古いドイツ語の辞書『和独対訳字林』を発行したのは、現在の足立区役所のごく近くに居を構えていた日比谷健次郎氏であったと、郷土博物館の学芸員から聞かされたのはつい先日のことでした。

 健次郎は天保7(1836)年の生まれ、つまり福沢諭吉と同世代に生きた人です。そもそも日比谷家は、徳川家康の江戸入府以前、現在の千代田区日比谷あたりの郷士だったと伝えられています。健次郎の4代前に渕江領小右衛門新田の惣代名主となり、日光街道と環七の交差点の南東側一帯に屋敷を構えていました。周囲の一部には石垣も備え、東西約80メートル、南北約120メートルにも及ぶ大きさでした。

 この健次郎さん、北辰一刀流の免許皆伝の腕前で、屋敷内には剣道場を有し、多くの門弟を抱えていたとか。当時の剣豪名鑑である『武術英名録』にもその名が記され、同じページにはなんと「天然理心流 土方歳三」の名前も。

 健次郎が、義父の加藤翠渓(三郷の人)とともに出版人となって日独辞書である『和独対訳字林』を発行したのが明治10(1877)年。冒頭に勝海舟が書を寄せています。幕末の豪農でありつつ、時代の先を読み、地域のみならず、明治維新後の日本の発展のために民間の立場で貢献した、こうした人物が足立にいたと、今回初めて知りました。

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