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公開日:2016年11月28日 更新日:2016年11月28日

30年前の開館記念品「星兜(ほしかぶと)」

星兜のレプリカ

【「星兜」のミニチュア版レプリカ(右が郷土博物館の開館記念品)】

 郷土博物館開館30周年を記念して開催中の特別展「アラサーみゅーじあむ モノがたり」。その入口で、どこかで見たような置物を見つけました。透明なケースに入った縦8cm、横6cmほどの兜のミニチュアです。これは開館当時、関係者に配られた記念品とのこと。「どこかで見かけた」と思ったのもそのはず、亡くなった父の部屋に今でも同じものが置いてあるのです。もちろん、それが郷土博物館の開館記念品だったとは、家族の誰も知りませんでした。

 この兜、開館の記念にレプリカが配られたくらいですから、実物は明治12(1879)年に伊興の横山家宅前の経塚(きょうづか)の中から発見されたという大変貴重なもの。経塚とは末法の世まで善行を残すため、書写した仏教の経典を土の中に埋納したもので、経塚から兜が出土する例は珍しいとのことです。伊興の経塚は鎌倉末期に作られたものですが、兜自体は平安後期作の「星兜(※)」。このあたりの武士が、埋経に際し先祖伝来の兜を一緒に収めたと考えられるそうです。現在は東京国立博物館に保管されているという事実からも、その重要性がわかります。

 今回の展示品の中には、周辺の有力者であったと思われる本田氏が、土地の所有を巡って小田原の北条氏とやり取りした1560年当時の手紙や、現在の保木間小学校のあたりに真田氏が武家屋敷を構えていたことが分かる江戸時代の絵図なども見られます。足立と言うとかつては農村地帯であったという印象が強いのですが、武士が身近に存在した時代もありました。

 記念品の星兜をまだ大切に保管されているご家庭も多いと思いますが、その中でどれくらいの方がいわれをご存じなのでしょうか。

※星兜:兜の型の一種。頭を覆う「鉢」の部分を形成する際に、鉄板をつなぎ留める鋲(びょう)の頭を鉢の表面に見せたもの。鋲の頭を星と呼ぶところから星兜の名が付いた。

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