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公開日:2016年4月28日 更新日:2016年4月28日

「美と知性の宝庫 足立」後期展示が始まりました

谷文一(一世)作 虎図(とらず) 江戸時代後期

【谷文一 「虎図」】

 郷土博物館で開催中の特別展「美と知性の宝庫 足立」。おかげさまで前期33日間の入館者数は6千人を超えました。「どうしても谷文晁(たに ぶんちょう)の作品が見たくて」など、目的をもって遠方からおいでいただく方も大勢いらっしゃったと聞いており、うれしい限りです。約半分の展示を入れ替えた後期の中で、私のお勧めの作品を3つご紹介したいと思います。

 前期に「かわいい」とご紹介した舩津文渕(ふなつ ぶんえん)の「猛虎図」に勝るとも劣らない「かわいらしさ」を振りまくのは、谷文一(たに ぶんいち、文晁の息子)の「虎図(とらず)」。金色のギョロリとした目玉が印象的ですが、到底「虎」には見えません。ちょっと爪が鋭い「猫」といった風情です。図録では同じページに並んで掲載されているのですが、会場では別展示になったのがちょっと残念でした。

 同じ谷文一による「猿猴図 模本(えんこうず もほん)」は、水に映った月を猿が手を伸ばしてつかもうとする瞬間を描いたものですが、猿の毛のフワフワした感じの描写が絶妙で、思わず触ってみたくなります。周囲の猿たちのあどけない表情も見る者を和ませてくれます。

 最後は村越其栄(むらこし きえい)による圧巻六曲一隻の「夏秋草図屏風(なつあきくさずびょうぶ)」です。江戸琳派(りんぱ)の特徴あふれた作品で、特に向かって右側に描かれた「ひまわり」は、黄色というより白(クリームがかった)の花弁の色合いが、共に描かれた濃い青色の朝顔と絶妙のコントラストを醸し出していて、これぞ琳派という豪華さです。

 平成27年度の文化遺産調査に基づく本特別展の開催によって、近世の足立における文化受容の傾向が明らかになりました。こうした文化遺産を、先人にならい、私たちも次世代へと大切に継承していかなくてはなりません。

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